オフショア開発の発展は好材料

　本連載では、過去三人のフリーエンジニアの物語を紹介してきたが、今回は番外編として、どのようなスキルをもつエンジニアが今後求められるのか、稼げるエンジニア像を考えてみたい。振り返ると、二つのキーワードが浮かび上がってくる。「グローバル」と「ウェブ」である。

　グローバル。エンジニアにとっては敵になるかもしれない言葉である。人件費の安い発展途上国が、ソフト開発スキルを猛スピードで身につけていて、オフショア開発が日本でも根づいた。従来、日本のエンジニアに発注していた仕事が、他国に流れている。エンジニアにとってネガティブだが、ポジティブに変えられる材料でもある。

　言語も品質も仕事に対する責任感も日本とは違う国に仕事を発注して、目論み通りにコストを減らすことは容易ではない。そこでグローバルなのである。日本の顧客の要望通りの仕様を、決められた期日に納品できるように、現地の言語でレクチャーしてマネジメントをする。それができるエンジニアは、引く手あまたであろう。

　事実、ITベンダーでは92.8％、ユーザー企業では91.1％が「グローバルIT人材が不足している」（『IT人材白書2014』情報処理推進機構発行）と回答している。グローバルIT人材に求めるスキルのトップ5は、（1）コミュニケーション力（2）語学力（3）リーダーシップ（4）交渉力・説得力（5）管理力である。『IT人材白書2014』がそう示している。ソフトやシステム開発関連ではないのが印象的だ。技術だけがわかる職人ではなく、マネジメントリーダーが必要なわけだ。海外のソフト開発会社やエンジニアに発注できるパイプがあり、それを自在にコントロールする。その力があれば、個人事業主でも十分にやっていけるだろう。（つづく）