「つなぐ」製品に活路を見出す

　2002年に独立してソフト開発会社のエイチ・ピー・エス（HPS）を設立し、一人で切り盛りしている三上智親（43歳）。安定した需要がある受託型のソフト開発をこなしながら、その一方でこだわるのが、プロダクトの販売ビジネスである。

　なかでもニーズを感じているのが、自社・他社を問わず、IT製品をつなぐ製品の開発だ。「すでにある製品同士を組み合わせて新たな価値を創造できるケースは多い。世のなかにない新しいジャンルの製品を開発するよりも容易なので、私の活動のメインにしている」という。

　三上の戦略は、こうだ。ITベンダーのプロダクト開発プロジェクトの一部にフリーエンジニアとして携わる。一般的には、ここでエンジニアとしての仕事は終わるが、三上はそのプロダクトを販売するエンドユーザー企業や代理店を探す。その過程で知り合ったITベンダーがもつ製品を調べて、連携すると価値があると判断した場合、アライアンスを提案。両製品をつなぐためのソフトウェアを自らが開発するというものだ。すでにいくつかのプロジェクトが動き始めており、「光明がみえてきた」という。

　三上は言う。「決して華やかな分野ではないが、製品を連携する製品、『製品をつなぐ』ビジネスは、今後ニーズが高まるはず。このビジネスを軌道に乗せて、将来は従業員を雇って組織をつくり、まとめる立場になれればと思っている」。

　三上は、プロダクトビジネスと同じくらいにエンジニア教育にも関心をもっている。「一人での仕事に難はないが、私が経験したことを後輩に伝えていきたい。そのためには組織が必要」と語り、かつて約20人の従業員を抱えていた頃のようにHPSを再成長させる考えだ。（おわり）［文中敬称略］