「HTML5」をマスターする

　稼げるITエンジニアとは、どのような能力をもつ人物なのかを探ったら、二つのキーワードが浮かび上がった。その一つは、前回紹介した「グローバル」だ。今回は、もう一つのキーワード「ウェブ」にスポットをあてる。

　高速通信ネットワークの整備とスマートデバイスの登場、そしてクラウドの普及で、ウェブアプリケーションはメインストリームになった。ウェブアプリケーションの開発者は今も売り手市場である。では、ウェブエンジニアのなかでも、長期的に求められる人材は、どんなプラットフォームに強くあるべきか。

　その答えとして、「HTML5」をマスターする人材は、今後受け入れられる可能性が高いとみられる。HTML5は、「Adobe Flash」のように、特定のコンテンツを表示するために専用ソフトの導入をユーザーに強いることはないし、一つのプログラムでマルチデバイスに対応する。この使いやすさは、開発者にとってもユーザーにとっても大きなメリットになる。

　調査会社の米ガートナーは、企業向けアプリケーションの半数が、2016年末までにHTML5ベースになると予測し、ウェブ解析サービス「StatCounter Global Stats」の調べによると、世界のPCユーザーが使うブラウザのうち83％が、すでにHTML5に対応しているという。この流れに乗るIT団体もある。オープンソースソフトウェア（OSS）関連技術者認定試験を手がけるエルピーアイジャパン（LPI-Japan）は、2014年、HTML5の技術者認定資格を開始した。

　ウェブアプリの普及は疑いの余地がない。ウェブシステムの開発に携わった経験があるエンジニアが大半だと思うが、どのプラットフォームに強いかがエンジニアの価値を決める要素になる。（おわり）