新春特別インタビューとして、次号（1月12日号）にNECの遠藤信博社長と富士通の山本正已社長の記事を掲載する。どちらの記事も本文では触れなかったが、日本を代表する総合IT企業の両トップが長期的なビジネスとして「非常に興味がある」と話した分野が、ロボットだった。とくにNECの遠藤社長は熱っぽく、重点分野に掲げる社会インフラ向けITソリューションのなかで、ロボットを重要視している姿勢を示した。

　IBMは2014年1月に、コグニティブ（認知）テクノロジー「Watson」の商業利用拡大のために、新部門「IBM Watson Group」を立ち上げた。約2000人のスタッフと10億ドルもの資金をつぎ込んで、Watsonを進化させ、全世界に売り込む。IBMは、このWatsonの活用範囲としてロボットもターゲットにしている。

　ロボット産業爆発を感じさせる要素はまだある。マイクロソフトは、「Machine Learning」という人間と同様の学習能力をコンピュータで実現する人工知能技術の研究開発に余念がない。マイクロソフトのジョセフ・シロシュ・コーポレートバイスプレジデントは、「Machine Learningが効果を発揮する分野は情報システムとロボット」と語っている。

　一方、日本では、組み込みソフトの開発に強い富士ソフトの坂下智保社長がロボットに熱い視線を注いでいる。「携帯電話向けが縮小し、今は自動車の制御系ソフトが人材不足になるほど活況だが、次はロボットだろう」と照準を合わせた。ロボットを中心とする機械制御系の組み込みソフト開発事業は、前年の同じ時期に比べて20％増で好調だという。

　「ロボットを遠隔地からリモートで操作する。そんな世の中がきっとくる。そうなれば、ハードウェアとソフトウェア、ネットワークが必要で、当社にはそれがすべてある。NECのポートフォリオが生きる領域」とNECの遠藤社長はロボット産業の成長を疑っていない。

　労働人口の減少による労働力の低下を補うために、業種を問わずロボットが必要になる。コンピュータとネットワークとの融合によって、ロボットは進化する。IT業界にとって、ロボットは決して無縁の産業ではない。複数の大手ITベンダーのロボットに対する動きが激しくなってきたことが、それを証明している。