2019年6月に日本情報技術取引所(JIET)の三代目理事長に就任したオーパシステムエンジニアリングの南出健治社長は、それまで約20年という長期間、神奈川支部の支部長も務めてきた。南出理事長の誕生に伴い同支部支部長に就任したのが、セカンド・ウェーブの本田篤志代表取締役だ。南出支部長時代から、トライ・アンド・エラーでJIETの新たな価値づくりを模索してきたのが神奈川支部の伝統だという。本田支部長もその文化を継承し、会員の“ニューノーマル”なビジネス環境への対応を支援していく方針だ。
会員間のネットワークづくりを重視
本田支部長のJIETにおける活動歴は長い。もともとはSESを主軸とする企業の営業担当としてJIET東京支部に参加したのがきっかけだった。その後独立し、横浜市にセカンド・ウェーブを設立。JIET会員となり、以降、神奈川支部の活動に十数年にわたって携わってきた。
神奈川支部 本田篤志 支部長
複数の支部での活動経験がある本田支部長は、神奈川支部の特徴について「単なる案件の紹介だけではない活動に価値を感じている会員が多い」と説明する。SESを主力事業としている企業でも、直接的な商談の機会を求めているだけではなく、ビジネスのネットワークを広げたいと考える会員が多いという。
神奈川支部の幹事も、SESが本業ではないメンバーが多い。セカンド・ウェーブのように受託開発が中心だったり、組み込み開発やWeb構築に強みを持つ地元企業のトップも多く参加している。「会員のニーズを反映して、会社間のつながりをつくって仲間を増やす活動が神奈川支部の活動の中心になっている。もちろん、困ったときに人を融通し合える可能性が高まるという利点はあるが、幹事の中には自社のビジネスにそれほどメリットがあるわけではなくても会員間のネットワークづくりに労力を割いてくれているメンバーが多い。地元のIT産業をなんとか盛り上げていこうという志を持つ人材が豊富だとも言える」
こうした経緯を反映して、神奈川支部は全国に先駆けて他支部との合同商談会を積極的に仕掛けてきた。隣接する東海支部や北陸支部との連携を端緒として、17年2月に沖縄支部が発足した際には、同支部との合同商談会を開催。神奈川県情報サービス産業協会など他団体との合同商談会も定期的に行っている。これらも、会員同士のネットワークを支部外にも拡大していく活動の一環と言えよう。
ハイブリッド型商談会の先鞭をつける
新型コロナウイルス禍によって、商談会の在り方も変化している。20年春には商談会のオンライン化に踏み切ったが、ネットワークづくりに重きを置く神奈川支部の商談会は、オンラインのみで会員ニーズを完全に満たすのは難しい。そこで、6月には会場を確保してリアルでの開催とオンラインでのコミュニケーションを併用したハイブリッド型の商談会にいち早くシフトした。JIETとしても、名刺管理アプリ「eight」を使ったオンライン名刺交換の仕組みを商談会向けに提供するなど、環境づくりに注力。こうした支援が大きな後押しになったという。
商談会やセミナーもいち早く“ハイブリッド”化
ただし、商談会におけるマッチング件数は減少気味だ。本田支部長は「コロナ禍に入ってからも当初は案件がかなり多かったが、昨年末から人が余り始めた」と話す。大口のSES案件がテレワークの影響で一旦ストップするケースも見られるとのこと。製造業の生産管理システムなどは一旦ストップした案件が動き始めた段階だが、組み込み系の案件は「一気に工場のラインを絞って開発投資を止めているユーザー企業も少なくない」のが実感だという。本田支部長は「直近ではリーマン・ショックや東日本大震災でも経験したことだが、ユーザー企業の経営状況の変化がIT投資に反映されるまでには1~2年のタイムラグがある。われわれにとってはまさに今年が正念場になる」と警戒感を強める。
こうした状況を踏まえ、神奈川支部の今後の活動としては、商談会と合わせて開催しているビジネスセミナーの充実に注力する。従来も、ハンズオン形式の勉強会を開催して会員の技術力・開発力を高めるための取り組みを進めてきた。本田支部長は「銀行との付き合い方やプライムで案件を獲得する方法など、時代にあったセミナーメニューを提供していきたい」と意気込む。意欲のある会員が事業環境の変化を乗り越えるための有効な支援策を模索すべく、知恵を絞り、全国の支部の先陣を切って新しい試みを展開したい意向だ。