視点

ITと人の力

2023/01/06 09:00

週刊BCN 2023年01月02日vol.1951掲載

 弊社編集部では、コロナ禍でリモートワークが定着したが、2022年は過去2年に比べると対面で取材する機会が増えたと感じている。3年ぶりにリアルで開催された企業のイベントを取材したり、多くの人の声を生で聞いたりしたことで、画面越しではないコミュニケーションの重要性を改めて感じ取ることができた。

 20年以降、企業の間ではITの導入が急速に進み、企業はデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた取り組みを進めている。IT企業は、自社の製品やサービスをアピールし、変革に成功した顧客の事例を紹介している。市場では、大規模な初期投資を必要としないSaaSなどのクラウドサービスの商材が増えており、多くの企業にとってDXの入り口のハードルは下がってきたといえる。

 コミュニケーションの観点でも、Web会議などのツールが普及した。当初は操作に戸惑うこともあっただろうが、今では、やり取りするための手段として広く使われている。長い移動時間を削減したり、柔軟な働き方ができるようになったりしたことを考えると、もたらした効果は大きい。一方、実際に現地に赴き、対面で話をすることで、新しい発見があることは少なくない。社外の人との関係構築に加え、雰囲気を把握するためには、対面のほうが効果的だと思っている。社内においても、雑談がふとしたアイデアにつながることがある。

 リモートと対面のどちらが優れているかは別として、取材する立場からすれば、双方をうまく組み合わせることが最適だと考えている。人と人の付き合いが多いビジネスの場面でも同様ではないだろうか。

 紙面では、IT企業のトップを対象とした「新春インタビュー」(12~16頁)の掲載が始まった。前年はリモートで取材する機会が多かったが、今回は対面取材が増え、より深い情報を届けられるようになった。

 企業のIT投資は堅調に推移しているが、新型コロナの感染拡大に加え、物価高やモノ不足、海外の景気減速など、引き続きIT企業にとって課題となり得る要素は多い。

 新年を迎えるにあたり、いま一度気を引き締め、ITと人の力を最大限に活用しながら、市場の動向を取材していこうと決意しています。引き続き、週刊BCNをご愛読いただきますようお願いします。 

 
週刊BCN 編集長 齋藤秀平
齋藤 秀平(さいとう しゅうへい)
 1984年4月生まれ。山梨県甲州市出身。2007年3月に三重大学生物資源学部共生環境学科を卒業。同年4月に伊勢新聞社(津市)に入社し、行政や警察、司法などの取材を担当。16年4月にBCNに入社。リテール業界向け媒体の記者を経て、17年1月から週刊BCN編集部に。上海支局長を務め、22年1月から現職。旧姓は廣瀬。
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