さくらインターネットは、クラウドサービス「さくらのクラウド」の再販や技術連携を軸にした「さくらのパートナーネットワーク」を展開している。「共に成長・成功するエコシステム」を掲げ、パートナー間の自律的な連携を推進する。また、さくらのクラウドのみならず、AIやGPU需要に対応するGPUクラウドの「高火力」シリーズなど、パートナービジネスにおける商材拡充も視野に入れる。(大向琴音)
パートナー同士が連携
さくらのパートナーネットワークは、ビジネスにおける利益だけでなく、共に成長・成功するエコシステムを目指し、パートナーネットワークでビジネスの好循環をつくり出すことを目的とする。さくらのパートナーネットワークには、さくらのクラウドの再販を担う「セールスパートナー」と、さくらのクラウドにパートナー企業の製品・サービスを組み合わせて提供する「テクニカルパートナー」の二つがある。
セールスパートナーは現在160社弱おり、売り上げ実績を基にしたランクに応じたプログラムを提供する。テクニカルパートナーは2024年9月に立ち上げた。さくらインターネットが受けた案件において、別途必要となる開発や運用・保守も担う。さくらインターネットのことを熟知し、使いこなせる企業にフォーカスをした上で声かけをしており、現在10社ほどがテクニカルパートナーとして活動している。
セールスパートナーとテクニカルパートナーの連携も促していく。さくらインターネットとセールスパートナーや、さくらインターネットとテクニカルパートナーといった、さくらインターネットとの直接の関係だけでなく、パートナー自身が判断してパートナー同士で連携していくのが理想型だとする。エコシステム内では既に、セールスパートナーが営業案件や開発案件を取ってきた際、開発を得意とするテクニカルパートナーと協力して案件を進めた例も出始めているという。
斎藤淳児部長
セールスパートナーとテクニカルパートナーの両方の認定バッジを持つことも可能なため、状況に応じて「今回はセールスパートナーとして案件を獲得する」といった柔軟な対応ができる。また、テクニカルパートナー同士の連携も想定できる。例えば社内のリソースが限られている際、同じテクニカルパートナーに所属している企業と協力して案件を進めるといったことも考えられるとする。
CS本部ビジネスアーキテクト部の斎藤淳児・部長は「われわれだけが成長するのではなく、パートナーがエコシステムの中でそれぞれ成長していけるような環境を提供できるような制度にしていきたい」と述べる。
AI・GPUの需要への対応も
再販制度のメイン商材はさくらのクラウドとなるが、AIやGPUの需要に対応する商材の取り扱いも実施、または検討している。具体的には、さくらインターネットではGPUクラウドサービスとして、コンテナ型の「高火力DOK」、VM型の「高火力VRT」、ベアメタル型の「高火力PHY」の三つをラインアップしており、このうち高火力VRTは既に再販制度に組み込んだ。高火力DOKと高火力PHYについても、追加を検討している。今後は、フルマネージドの生成AI向け実行基盤である「さくらの生成AIプラットフォーム」との組み合わせについても検討したいという。
国産というプレゼンスを生かす
今後は、テクニカルパートナー、セールスパートナー、さくらインターネットの3者間での連携の機会を積極的に創出していく姿勢。直接対面する機会の提供のほか、テックタッチの形式でパートナー同士の双方向のコミュニケーションを促すといった二つのアプローチを想定する。対面機会については、11月にパートナー企業を集めたカンファレンスを開催する予定だ。
高木雄三マネージャー
現在、さくらのクラウドがガバメントクラウドに仮採択されている状況にある。正式採択後には、ガバメントクラウドとして、より多くの業種、業界の顧客へと利用を広げたい考えを示す。CS本部ビジネスアーキテクト部の高木雄三・マネージャーは「さくらのクラウドの国産であるというプレゼンスを存分に生かしながら、われわれと一緒に成長していただけるパートナーと共にwin-winのかたちをつくっていきたい」と力を込める。