沖縄県浦添市に本社を構えるオーシーシーは、「沖縄のIT総合商社」としてハード販売、SI、クラウド、BPO、データセンターなど幅広い領域で事業を展開している。屋比久友秀社長は「受託開発だけでなく、顧客が必要なものを提案するコンサルティングを強化したい」と展望。副業を認める人事制度改革を行うことで社員全員が自立的に案件を獲得するよう意識改革を進め、事業成長を目指す。
(取材・文/堀 茜)
公共中心に幅広く事業展開
――事業内容の紹介を。
基幹系システムの構築や保守、ソフトウェア開発が中心で、特に強みを持つのは地方自治体向けシステムの構築・保守・運用だ。国の出先機関や県庁、市町村など公共を中心に、沖縄県内の顧客が9割を占めている。
1966年設立で60周年を迎える。創業当初は県内唯一のIT企業で、沖縄が米国から本土復帰を果たした際には、給与計算システムをドル建てから円建てに変更した歴史がある。ITに関することは全て対応できるように事業展開し、お客様から「オーシーシーに任せておけば安心」と言っていただいている。
――強みは。
業務知識を高いレベルで持っている点だ。自治体向けにはNECのパッケージソリューションを導入しているが、多くの自治体はパッケージに業務を合わせることに苦労している。当社は地域特性に合わせてカスタマイズができることが特徴になる。
民需では卸売業向けに知見がある。食品や機材関連などの卸売り全般に対応できる販売管理パッケージ「NextNavinity」は、当社と鹿児島県の南日本情報処理センターで共同開発した販売管理システムだ。SaaSでも展開しており、沖縄県内の卸売業者で広く採用されている。
ガバクラの先を見据える
――自治体向けで注力している取り組みは。
県内14の市町村がガバメントクラウドの導入を進めており、その支援を一手に担当している。自治体にとっては、標準化システムをガバメントクラウドに移行することで、市町村ごとのカスタマイズ費用がなくなったり、データ移行時の費用負担がなくなったりとプラス面もある。一方でSIerにとっては、移行が完了したら基幹業務部分の売り上げがなくなるという意味で強い危機感がある。
屋比久友秀 代表取締役社長
ガバメントクラウド移行後は、住民情報サービスなど周辺業務に領域を広げていくことはもちろんだが、当社が自治体向けに貢献できるのは、お客様の業務を深く知っているからできるコンサルティングだ。言われたことをやるだけでなく、お客様にとって何がいいのか提案する力を強化していきたい。
――海外にオフショア拠点を持っている。
ミャンマーに続いてベトナムにも現地法人を置いている。海外拠点は、当社内の人手不足を補うというオフショアの側面に加え、海外市場へビジネスを拡大するという意味合いもある。当社のパッケージ製品を多言語化しベトナム市場に広げるため、電子カルテシステムを日系医療法人と共同でベトナムの医療機関に提案し、導入を検討してもらっている。現地には優秀なエンジニアが多く、研究開発を進め新規ソフトウェア製品の開発につながることも期待している。
コンサルを成長領域に
――県内の顧客のニーズに変化はあるか。
AIに対する関心が非常に高くなっている。人手不足はどの業界も深刻で、AIによって業務を効率化し、労働人口減をカバーできないかという声が多い。社内にAIの専門部隊をつくり、まずは社内展開している段階だ。お客様に対しては、ハンズオンセミナーなどを開催し、理解を深めてもらっている。RPAでやっていた業務をAIで高度に自動化したいなどの要望があるが、業務にどう生かすかにはまだギャップがある。
――成長を目指す上での課題は。
人材の育成だ。当社は、成長領域としてコンサルティングに注力していくが、今までの仕事のやり方に固執するのではなく、お客様にとって本当に必要なものを考えるマインドを全社員に浸透させる必要がある。そのために、4月に人事制度を成果に基づいて評価するよう刷新する。現在は副業を禁止しているがそれを可能とし、時間に縛られない働き方ができるようにしていく。当社の従業員が一社員として、または一事業主としてお客様に提案し、案件を獲得する。その際、当社が側面からサポートするようなかたちを目指している。
悩みは優秀な人ほど退職してしまうことがある点だ。時間と給与がひも付く従来型の制度ではなく、成果を上げれば上げるほど評価される思い切った改革をすることで、社員にとっても働きがいのある環境で活躍してもらいたい。
――今後の展望を。
お客様のシステムを安定稼働させ、信頼を裏切らない安心・安全を第一としつつ、新しいことにもチャレンジする。AIとコンサルティングに加え、県内の自治体や医師会と一緒に地域医療DXにも取り組んでいる。当社だけではカバーできない領域は、他社との協業も積極的に行い、沖縄県のITリーディングカンパニーとして求められる役割を担っていきたい。
Company Information
本社は沖縄県浦添市。1966年、沖縄電子計算センターとして設立、86年に現在の社名に変更。SI事業が中心で、2024年度の売上高は88億円。25年1月現在の従業員数はグループ全体で616人。