クラウドストレージサービス「Dropbox」などを展開するDropbox Japanは、「チャネルファースト」の方針の下パートナービジネスを推進している。ディストリビューターと連携したカスタマーサクセス体制の強化に注力し、パートナーが売りやすく、顧客が使い続けやすい環境づくりを進める。(大向琴音)
「Dropbox CoE」で能動的にサポートする
同社は2020年に「チャネルファースト」戦略を打ち出し、現在もその方針を継続している。Dropbox Japanの龍村洋一・日本ビジネス統括社長は、「パートナーが第一にあって、その中でビジネスを拡大する方針は変わっていない」と説明する。新規案件は原則パートナー経由とする体制を維持しているほか、近年は、主要パートナーとの関係深化を重視している。
龍村洋一・日本ビジネス統括社長
パートナービジネスの中核を担うのがディストリビューターのSB C&Sだ。全国の販売網を活用し、Dropbox Japanとのビジネスを推進している。Dropbox Japanのパートナー営業担当が、パートナーに対してどのような支援が必要かをヒアリングし、吸い上げたニーズを基にSB C&Sと共同でさらなる支援につなげている。
SB C&Sでは、SaaS専任部隊「Cloud Service Concierge(クラウドサービスコンシェルジュ)」内に「Dropbox Center of Excellence(CoE)」を設置し、カスタマーサクセスチームが顧客に対して、新機能の案内や、事例案内など能動的なサポートを行う。四半期に1度の頻度で、両社共同でオンライン勉強会「Dropbox University」を開催している。販売パートナーの了承を得た上で顧客と継続的に接点を持ち、利用の定着や活用促進を支援する体制を構築しており、参加したユーザーからも高い評価を得ているという。
ファイル共有周辺サービスの提案を強化
パートナー支援策の一つとして、案件登録制度を21年から本格的に運用している。パートナーの案件を事前に登録してもらうことで、同一案件を巡るパートナー間のチャネルコンフリクトを防ぎ、安心して提案活動に取り組める環境を整えている。まだ制度を活用していないパートナーに対しても積極的な活用を促したい考えで、Dropbox Japanからプッシュ型の提案を行っているという。
クラウドストレージサービスに加え、ファイル共有周辺サービスの提案も推進する。共有管理を強化する「Dropbox DocSend」は、ファイル共有時のNDA取得やダウンロード制御、閲覧状況の把握などが可能なサービスで、従来のクラウドストレージの共有オプション設定では対応しきれなかった高度な外部共有ニーズに対応する。特に機密文書のやり取りやマニュアル配信などの用途で引き合いが増えているという。
Dropboxだけでなく「Google Drive」や「Microsoft 365」の共有状況も一元的に可視化できる「Dropbox Protect and Control」の営業活動も始めている。サプライチェーンセキュリティーへの関心が高まる中、共有情報の管理を支援するソリューションとしての展開を見据えている。
製品の提供にとどまらず、ログ分析や運用支援を担うマネージドサービスのニーズが出てきていることから、運用サービスを提供できるパートナーとの協業拡大も視野に入れる。
今後もより一層パートナービジネスの強化を促す考えで、龍村社長は「SB C&SのDropbox CoEと連携しながら、パートナーと一緒に顧客を支援していく」と説明する。その上で、「パートナーにとってより売りやすいかたちでの製品展開を推進していく」と意欲を示す。