CDN(コンテンツデリバリーネットワーク)を中心とするネットワークサービスやクラウド基盤を手がける米Cloudflare(クラウドフレア)は、セキュリティー機能やAIエージェント開発機能などを一つのプラットフォームで提供することで、AI活用を加速する企業の需要を捉えている。日本でも企業のAI利用が急速に拡大する中、同社製品を扱う大手ITリセラーが増加している。日本法人Cloudflare Japanの松本紗代子・日本代表兼日本地域担当バイスプレジデントは「パートナーには、シングルプラットフォームでお客様の課題を解決できるという価値の訴求を通じて、お客様の業務変革を支援してもらいたい」と力を込める。(岩田晃久)
企業のAI活用を支える機能提供
クラウドフレアは、CDNやセキュリティーサービスを主軸に事業を拡大させてきた。現在はその強みを生かしながら、企業のAI活用を支援する体制を整えている。企業がAI活用を本格化させる際には、従業員が利用しているAIサービスやツール、トークンコストの可視化、AIアプリケーションの保護、セキュアな開発環境、ガバナンスの徹底といった要件に対応する必要がある。クラウドフレアのプラットフォームは、これらの課題解決を横断的に支援できるのを強みとしている。
主な機能としては、推論基盤となる「Workers AI」、シャドーAIの検出などのセキュリティー機能を統合した「AI Security Suite」、AIアプリの監視やトークン使用量を可視化する「AI Gateway」などがある。これらの機能を、CDNの基盤を通じてユーザーに近い場所から提供しているのが強みで、またクラウドフレアが自社でも利用することで、ブラッシュアップを重ねているという。松本日本代表は「一つのプラットフォームでさまざまなAI領域をカバーできている点が評価されている」と語る。
松本紗代子 日本代表
大手中心にパートナーが拡大
製品の進化に加えて、グローバルでパートナービジネスの強化を進めており、国内でもパートナーが増加している。ディストリビューターには、既存のネットワールド、IIJグローバルソリューションズに加えて、6月に日立ソリューションズが加わった。リセラーについても、「エンタープライズに強いパートナーが増えている」(松本日本代表)とし、伊藤忠テクノソリューションズやネットワンシステムズ、ソフトバンクといった企業との接点が拡大しているという。今後は、技術力に強みを持つ地場のパートナーとの連携も広げていく考えだ。
CDNを扱っていた既存パートナーについて、松本日本代表は「クラウドフレアを好きと言ってくれるパートナーが多く、変化をポジティブに捉えていただいている」と述べる。
6月には、安全なAIとSASE(Secure Access Service Edge)の導入を加速させるのを目的とした「Cloudflare One デザインパートナー認定」を開始した。パートナーとの共同投資型の仕組みで、クラウドフレアは充実した資金的・技術的支援を提供する。パートナー側には体制の整備など一定のコミットメントが求められるが、国内でも認定取得を目指すパートナーが出てきているとする。
支援体制の充実を図る
そのほかにも、パートナーへの支援策の充実を図っている。エンタープライズセールスに関するバックグラウンドを持つ営業担当者を積極的に採用し、その営業スタッフがパートナーの商談に同席することで成約率を高めている。技術面においても、パートナー担当の技術チームやエンジニアが案件に参加するほか、AIを活用したトレーニングを通じてパートナーのスキルアップを支援する。
クラウドフレアは「CDNの会社」という認識を持たれることが多いが、同社ではイベントやウェビナーを定期的に開催し、AIやセキュリティーの領域でも強みを持つことをアピールしている。
松本日本代表はパートナービジネスの強化に向け「お客様に当社の製品を導入する際、アセスメントや移行計画、導入後の運用や保守などが重要となる。顧客のシステム環境は当社よりパートナーの方が理解しているので、お客様に寄り添えるパートナーと組むことで(顧客に)貢献していきたい」と展望する。