オブザーバビリティープラットフォームを提供するDatadog Japanは、日本市場でのさらなる成長に向けて、パートナービジネスを本格化させている。地方での顧客開拓を目的としたディストリビューションモデルの導入や、セキュリティー領域でのパートナー拡充などを通じて、パートナーエコシステムの強化を進めていく考えだ。システム環境の複雑化に伴い、オブザーバビリティー製品への需要が高まる中、国内のIT市場を熟知したパートナーとの連携により存在感を高めていく。(大向琴音)
直販と間接販売の両方伸ばす
米Datadog(データドッグ)の日本法人であるDatadog Japanは、直販中心でビジネスを成長させてきたが、2025年半ば頃からパートナーチームの人員を拡充するなどして、パートナービジネスを本格化させた。パートナーとの協業強化を進める理由の一つに、日本のIT市場の特性がある。大規模なIT部門を自社で抱えることが多い米国に対し、日本はSIerやパートナーの支援を受けながらIT環境を構築・運用する企業が多いため、ユーザーを理解するパートナーを通じたビジネス展開が日本市場での拡販において重要とみる。
ただし、完全にパートナービジネスにシフトするのではなく、ハイタッチ営業による直販体制への投資も継続する考えで、直販と間接販売の双方を拡大する方針だ。執行役員の大場章弘・Director,Channel&Allianceは「ハイタッチ営業を増やしながら、パートナーとの連携も拡大する。どちらかに移すのではなく、両方を伸ばしていく」と力を込める。
大場章弘・執行役員
大手・中堅SIer、コンサルティングファーム、地方ベンダー、クラウドインテグレーターやクラウドプロバイダーなどのパートナーと連携している。中でも近年連携が深まっているのがクラウド関連のパートナーだ。背景にはAIの活用拡大がある。企業がAIを利用する際、多くのケースでクラウド基盤が活用される。加えて、複数のクラウドやAIモデルが混在するケースも増えており、運用環境は複雑化している。こうした環境の中で、オブザーバビリティーの重要性が今まで以上に高まっている。
公共とセキュリティー分野を重点領域に
今後の重点領域として公共分野を挙げる。公共の顧客においては、調達の大半がパートナー経由となることから、公共分野に取り組んでいる既存パートナーとの連携強化に加え、地方自治体を支援している地域パートナーの開拓も進めたい考えを示す。
また、現状は多段流通モデルを採用していないが、地域展開の強化策としてディストリビューションモデルの導入も検討している。ディストリビューターが持つリセラーの販売網を活用することで、全国へのカバレッジ拡大を目指す。
加えて、セキュリティーも注力領域として位置付ける。セキュリティー機能の拡充に伴い、セキュリティー分野に強みを持つパートナーにもフォーカスする。例えば、SOC(Security Operation Center)サービスの環境にDatadogのセキュリティー機能を組み込む提案を進めており、すでにいくつかの大手SOC事業者と技術連携の可能性について検証を行っているという。
コンテンツ提供やイベント通じサポート
パートナー向けに専用ポータルを提供するほか、認定資格制度を通じて技術者育成を後押しするなど、パートナー支援にも力を入れる。また、Datadogの主要技術を自分で勉強できるWebサイト「ラーニングセンター」を用意し、実際にDatadog環境の中で操作しながら学べる仕組みを整備している。
5月にはパートナーイベントの「パートナー・リーダーズ・サミット」を開催し、アワードの表彰や、事例共有を実施した。パートナー同士の情報交換も活発で、新たな関係構築や、連携のきっかけとなるケースが生まれているとする。
大場執行役員は、「単なる販売パートナーではなく、ソリューションとして価値を届けていただけるパートナーを増やしたい」と語る。さらに、「日本におけるパートナーとの連携は歴史が浅いが、顧客やパートナーから大きな期待をいただいている。日本法人としてグローバルとも連携しながらしっかりと支援することで、パートナーの事業拡大につなげたい」と展望を語る。