AIを支えるGPUサーバーは、電力を大量に消費し、発熱も増加するため、設置環境のインフラ整備が重要になる。仏Schneider Electric(シュナイダーエレクトリック)は、AIインフラに対応した製品を包括的にそろえる強みを生かし、成長を遂げている。同社のパートナーにとっても、拡大するAIインフラ市場には、大きなビジネスチャンスがある。シュナイダーエレクトリック日本法人では、トレーニングの提供をはじめとした支援により、パートナーのAIインフラ市場への参入を後押しすることで、拡大するAI需要に応えていく。(岩田晃久)
ワンストップでさまざまな製品を提供
同社では、UPS(無停電電源装置)やPDU(電源タップ)、ラック、冷却システム、環境監視用ソフトウェアなど、AIデータセンター(AI DC)に必要な製品をワンストップで提供できる体制を整えている。GPU搭載サーバーの需要が拡大し、AI DCの設立やサーバールームの見直しが進む中で、電力消費や発熱といった課題の解消を目的に、同社製品へのニーズは拡大傾向にある。
パートナー営業本部の澤田国治・本部長は「従来はサーバーとインフラ製品を別々で考えることが多かったが、現在は、GPU搭載サーバーを導入する際は空調などをセットで考えるといった流れになっている。また、『熱だまりがどこにあるのか調査したい』『水漏れの確認をしたい』などの相談も増えている」と説明する。
こうした市場環境を受けて、同社のパートナー網にも変化が出てきているとする。従来は、UPSを中心に取り扱う販売店が多かったが、最近は、データセンター事業者やSIerなどを通じたAIインフラ商材の扱いが増えているという。
澤田国治 本部長
パートナーに合わせたトレーニングで理解を深める
AIインフラ商材の取り扱い経験が浅いパートナーもこの領域のビジネスに参入できる環境を整えるため、シュナイダーでは支援の充実を図っている。
トレーニングでは、UPSや管理ソフト、空調などの各製品についてコンテンツを用意しており、パートナーのナレッジに合わせてカスタマイズできるのが特徴だ。澤田本部長は「例えば、IT系のパートナーの場合、空調についてはどこから手を付けていいのか分からないといったケースが多いので、初級編として、空調の基礎から学べるようにしている」と話す。トレーニングはリアルとオンラインのハイブリッドで開催し、ライブで実施することで、その場でパートナーからの質問にも柔軟に対応する。
マーケティング活動においては、パートナーとの共同セミナーやイベントの開催などを通じて、新たな案件創出に取り組んでいる。
シュナイダーのファンを増やす
AI需要は首都圏だけでなく地方にも広がりつつあるため、いわゆる“ローカルキング”とされる地場の有力パートナーや、OT領域を得意とするパートナーとの協業機会が増えている。澤田本部長は「今後は両者を融合させた提案が重要になると考えている」見解を示す。
一方で地方の場合、首都圏以上にIT人材が不足しており、ユーザー企業においては、少ない人数でさまざまなIT関連の業務に対応しているのが現状だ。澤田本部長は「企業がどういった環境なのかをきちんと確認して、負担を軽減できる最適な提案をしていきたい」と述べる。
同社は、9月にAI DCビジネスの強化を目的とした新体制を発表した。ソリューション提案を担う「C&SP(クラウド&サービスプロバイダー)セグメントキーアカウントチーム」、設計・プロジェクト管理を行う「Japan One Solution Center」、現場での導入・保守を担当する「サービス事業部」が密接に連携し、DC構築を支援する。パートナーとの連携も重視しており、例えば、サービス事業部では、パートナーのエンジニアと協力して、全国の顧客へのサポートを充実させる。
今後パートナーとのアライアンスをより強化し、パートナーが強みとする製品と同社製品を組み合わせた提供を推進する。また、「電気設備は当社(シュナイダー製品)をメインにする、といったように、会社として一緒にビジネスを伸ばしていく考えを示しているパートナーとの協業を強化していきたい」(澤田本部長)と展望する。
AI市場が拡大する中で、今後は周辺のインフラ製品への需要もさらに拡大していく。そうした環境はパートナーにとっても大きなビジネスチャンスとなる。澤田本部長は「市場が伸びていく中で、パートナーが当社に期待する部分は大きいと感じおり、パートナーに寄り添った動きをしていくことで、シュナイダーのファンを増やしたい」と抱負を語る。