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<対談>レノボ・ジャパン×アステリア GravioとThinkCentre NanoがIoTの現場導入を加速

2020/08/27 09:00

週刊BCN 2020年08月24日vol.1838 第2部掲載


 エッジIoTを容易かつ低コストで実現するアステリアのIoT統合エッジウェア「Gravio」が注目を集めている。そのGravioによるソリューションをハードとして支えるのがレノボの「ThinkCentre Nano IoT」だ。両社の協業の経緯とその成果である具体的な事例、今後の展開について、アステリアの垂見智真・Gravio事業部長とレノボ・ジャパン製品企画部の大谷氏に語ってもらった。

エッジの現場に最適な
レノボハードの優位性

――まずは、アステリアとレノボとの協業の経緯を教えてください。

垂見 以前のIoTソリューションは、クラウド中心に導入されるケースばかりでした。しかし、画像推論などの大容量データを取り扱うには、ある程度までエッジ側で処理して使いやすいものにしないと、ネットワーク帯域、通信コスト、セキュリティ対策などの面で大きな負荷になってしまう。そこで、2017年6月に発表したのがエッジ用プラットフォーム「Gravio(グラヴィオ)」です。それに合わせて、もともとパートナーであったレノボ様に相談し、Gravioを稼働させるエッジに最適化したハードを提供してもらいました。
 
アステリア垂見智真エンタープライズ本部Gravio事業部長(左)
レノボ・ジャパン大谷光義コマーシャル事業部製品企画部ワークスタイルエバンジェリスト

――既存のエッジ用ハードという選択肢は検討されませんでしたか。

垂見 小型製品の開発力、供給の安定性、ブランド、コストの観点からの最適な選択がレノボ様でした。われわれの必要とするハードがそこにあった、と言ってもいいと思います。

大谷 Gravio発表後もアステリア様とは密にコミュニケーションをとって、要望をいち早く製品に反映させてきました。

――機能面で注目した点はありましたか。

垂見 AIカメラ(画像推論)です。エッジ処理して結果だけをクラウドにあげるのが最適なのですが、ほぼPoEの有線カメラを利用します。その仕組みの上で最も相性が良かったPCが、ThinkCentre Nano IoTでした。LANケーブル1本で済むため設置の自由度、可用性を飛躍的に向上してくれました。

レノボ製品のLCMで
新たな協業がスタート

――Gravioは、すでに多くの事例が生まれているようですね。

垂見 ええ。IoTは工場系が多いというイメージがありますが、Gravioは規模を問わず、スマートオフィス、スマートビルディングなど、“スマート”と付くところ全てに導入可能です。Windows PC1台から本格的なエッジ型IoTをノンプログラミングで導入できる点が強みで、月額500円サービスも提供しており、実際、5分での使用開始も可能です。

大谷 当社自身もGravioとThinkCentre Nano IoTによって、本社に会議室管理システムを構築しました。各部屋に人感センサー、温湿度センサー、CO2センサーを設置、全会議室の状況が受付で一元的に把握できるようになり、稼働率向上に寄与しています。また、CO2濃度が一定レベルを超えると生産性低下などの影響を及ぼすことから、換気を促したり、コロナ対策として3密を避けるという点からも効果的に活用しています。

垂見 3密回避ソリューションは、愛媛県四国中央市のHITO病院でも採用されています。また、都内のある診療所ではHPで待合室の人数をリアルタイムにお知らせする仕組みを構築されています。データの蓄積によって、特定の曜日の混み具合や待ち時間を推測することも可能になります。こうした小規模なケースに導入できるのも、ユーザー自身でも使えるソフトと購入しやすいハードの組み合わせだからこそ可能になったと自負しています。

――レノボへの評価はいかがですか。

垂見 AIが多くのセンサーと組み合わさることによって、エッジで処理すべきデータは今後、さらに増えます。そうなれば、エッジはさらにインテリジェントであることが求められます。ThinkCentre Nano IoTの備える性能、信頼性は頼りになります。しかも、コスト的に購入しやすく、グローバル展開する上でも各国で同じものが入手できるメリットはとても大きいですね。Gravioと組み合わせ可能なハードは他に2社ありますが、レノボ様が圧倒的です。お客様がどうしても他社でといわれない限り、われわれもレノボを薦めています。サポートはもちろん、提供される情報も充実しているので、安心してお薦めできます。また、OSのセレクトにも対応してLinuxをしっかりサポートしている点は、自社でのカスタマイズを望むお客様の支持を集めています。

――今後の展開について教えてください。

垂見 クラウドとエッジにおけるデータの適材適所な処理という点でも、GravioとThinkCentre Nano IoTで検証して、ベストな時にベストな場所でデータ利用できるようにしています。当面の目標は1000ユーザーですが、今後は取得可能なデータの質と種類を増やし、そのデータを活用するソリューションの拡充を進めます。そして、より万人が使用できるサービスを目指します。

大谷 われわれもグローバルで高性能な製品を安定して供給することを通じて、アステリア様をサポートするとともに、IoTソリューションの普及、拡大に寄与していきます。
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外部リンク

Lenovo Japan=https://www.lenovo.com/jp/

アステリア=https://www.asteria.com/jp/