SAP専業SIerのNTTデータグローバルソリューションズ(NTTデータGSL)は、産学連携でSAP人材の育成に力を入れている。2025年11月には近畿大学工学部(広島市)、26年1月に同大経営学部(大阪市)と滋賀大学経済学部(滋賀県彦根市)でそれぞれSAP講座を開設するなどの連携を始めている。大学発のスタートアップとは、今年4月から社会人を対象としたSAP教育を展開。慢性的に不足しているSAP人材の育成を図るとともに、地方におけるSAPビジネスの強化を目指す。
八木将樹 事業本部長
SAP人材の不足が改善しない背景として、八木将樹・第一事業本部事業本部長は「製造実行管理やデータ分析、サプライヤー取引管理といったERPと密接に関わる周辺領域にSAP製品群が広がってきていることが挙げられる」と指摘する。従来の財務会計や生産管理などのERP中核部分に精通した人材は一定のボリュームが確保されているものの、拡張が進んでいる周辺ソリューションに詳しい人材の育成まで追いついていないのが実態だと受け止めている。
ただ、SAPという個別製品の人材育成の協力を教育機関に申し出ても、これまではあまり興味を示してもらえなかったという。風向きが変わったのはAIの台頭だ。企業経営でAIを活用できるかが日本企業の国際競争力を大きく左右するとなれば話は違ってくる。企業におけるAI活用は、全社のデータをどれだけリアルタイムに集められるかがかぎを握るとされ、八木事業本部長は「全社横断でデータを統合できるSAPはAI活用のプラットフォームとして使い勝手が良いことから、興味を示す教育機関が増えている」と語る。
こうした背景をもとに、例えば、工学部ではAI活用で必要となるデータ統合基盤などの講座を開き、経営学部や経済学部ではSAPをベースとしたAI利活用の知見や、DX戦略といった経営戦略に重きを置くといった講座を展開する。NTTデータGSLは自社の従業員を対象にSAP関連や経営・業務に関する教育プログラム「GSL大学」を開設しており、ここで培った教育カリキュラムを外部教育機関向けの講座に応用していく。
4月からは九州工業大学(福岡県北九州市)発のIT人材育成スタートアップ企業Kyutech ARISE(福岡県飯塚市)との協業にも取り組んでおり、Kyutech ARISEが有するIT教育プログラムに、NTTデータGSLのSAPトレーニング体系を組み合わせ、九州を中心とした社会人への教育を推進する。
将来的にはNTTデータGSLの人材獲得や、東阪の拠点と地域SAP人材との連携を推進し、地場の中堅ユーザー企業向けのSAPビジネスの拡大などにつなげる狙いだ。
(安藤章司)