キヤノンシステムアンドサポート(キヤノンS&S)は、経営支援サービスを体系化した「まかせてIT BXシリーズ」に、「サイバーインシデント対応コンシェルジュ」サービスを追加し、10月28日から提供を始めた。サイバー攻撃による損失を補償する保険会社や、デジタル証跡を調査するフォレンジック調査会社とのやりとりをキヤノンS&Sがユーザーとの間に入って支援し、被害の事後処理を円滑に進めるのが狙い。
キヤノンS&Sの石井雄太・部長
AIを駆使したサイバー攻撃が広がる中、同社は従業員数300人以下の中小企業ユーザーにサイバー保険への加入を推奨するとともに、被害に遭った際に「システムへの侵入経路や手口を把握するために、システムログなどのデジタル証跡を集め、保険会社に被害状況を正確に報告できるよう支援する」(石井雄太・ITソリューション推進本部インフラソリューション推進部部長)ことで、事業活動への影響を最小限に抑えられるよう努める。
サイバー攻撃を仕掛ける側は、痕跡を残さないよう、通常はシステムログを削除するが、「侵入されたPCやサーバーの電源さえ落とさなければ、メモリーのなかに痕跡が残っているケースが多い」(同)とし、外部との通信ネットワークを遮断した上で、キヤノンS&Sの保守担当者が客先に出向き、特殊なツールを使って証跡データを収集する。集めたデータを連携先のフォレンジック調査会社に送って分析してもらい、その結果を根拠に加入している保険会社に保険金を請求する手順を踏む。
中小企業ユーザーには、セキュリティーの専門家が常駐しているケースがほとんどないため、「保険申請に必要なデジタル証跡を十分に集められず、苦労する場面が多く見られた」(同)ことから、今回のサービスを開発し、まかせてIT BXシリーズのメニューに加えた。また、通信ネットワークを監視するため、ユーザー企業にはIT保守サービスを体系化した「まかせてIT DXシリーズ」のネットワーク運用支援サービスにも加入してもらう。
サイバーインシデント対応コンシェルジュの年間契約料金は税別12万円からで、別途サイバー保険の加入費用や、サイバー攻撃を受けた際に発生するデジタル証跡の収集・分析費用、システム復旧の費用などがかかる。システム復旧費用は数百万円から数千万円に上るケースもあり、個人情報が漏えいした場合などには賠償リスクも発生する。保険会社とのやりとりを円滑に進める支援を通じて「サイバー攻撃を受けた際の費用リスクを少しでも軽減する」(同)ことを目標に据える。(安藤章司)