オービックビジネスコンサルタント(OBC)が、年商300億円以上の企業での利用を視野に入れた本格的なERP(統合基幹業務システム)「奉行V ERP」を発売したのは、2007年10月のことでした。当時『週刊BCN』は、このニュースを大きく伝え、「売れるシステム」として期待を表明しました。
なぜ「売れる」と考えたのか――。会計システム「奉行シリーズ」のメイン市場は中小企業。この既存顧客が成長してシステムをアップサイジングする際に、OBC製品とは別のERPを選択していました。同社は顧客に国内トップクラスの中小企業を抱えていましたので、いわゆる「見込み顧客」の母数は多く、アップサイジングは十分に期待できる。ゆえに「奉行V ERP」は伸びると分析したのです。
実際、今思えば順調に成長したのですが、大変な時期もありました。「奉行V ERP」を出した当時、同社は販売強化のために営業人員の多くをそこに充てました。そのぶん同社の発展を下支えしている中小企業の営業が手薄になり、全体戦略の見直しを迫られたのです。
それだけに、りそなホールディングスの3銀行で「奉行V ERP」が稼働したという事実は、OBCにとって大きな意味をもちます。銀行の勘定系に導入した実績は、また一歩、競合を引き離した証といえるでしょう。(谷畑良胤)
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OBC、りそなホールディングスの3銀行が会計システムに「奉行V ERP」を採用メールマガジン「Daily BCN Bizline 2011.8.1」より