9月中旬、中国各地で起きた反日デモの映像は衝撃的でした。政治レベルでの応酬だけでなく、民間レベルでも反日感情が爆発したわけですが、これは根本的なところで日中関係が以前より悪化していることを意味しているのでしょうか。
冷静にみれば、長い冷戦の時代を経て、中国が改革開放路線に転じたのを契機に経済交流が始まり、とくにここ数年の間は、両国の関係は確実に深く、広くなり、お互いにその存在を認め合ってきたはずです。
IT業界に関していえば、日本と中国のITベンダーは、ともに中国市場の開拓を目指して、太いパイプをつくってきました。今年8月、『週刊BCN』が中国・上海で日中のIT協業について取材したところ、すでに日中のITベンダーが共同でビジネスを展開し、成功を収めている事例が生まれていることがわかりました。
こうした深い関係は、数年前には考えられなかったことです。中国の巨大なIT市場を開拓するには、お互いの補完関係が不可欠という意識は、確実に根づきつつあります。その意味で、日中関係は進化・深化しています。
中国でビジネスを手がける日本のITベンダーには、「冷静であれ」というメッセージを送りたいと思います。いまは不安定でも、それは日中関係の致命的な悪化を意味しているわけではありません。照る日があれば、曇る日もある。東アジアの明日は晴天にしたい。(ゼンフ ミシャ)
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<パートナーの力を生かす“5か条”>【Part 1 日立システムズ】中国ビジネスの先駆企業 地場ベンダーと組んで「介護」と「クラウド」に注力メールマガジン「Daily BCN Bizline 2012.10.3」より