今日のひとことWeb版

派手な数字に踊らない

2013/10/08 15:26

 2020年東京オリンピックの開催決定は今年の大きな話題の一つですが、最近、IT関連のセミナーや講演では、「オリンピック開催でIT投資は必ず増え、ベンダーのビジネスチャンスが広がる」という話をされる方が目立ちます。おそらく、ITだけでなく、多くの産業が、その経済効果に神頼みにも似た期待をかけているのではないでしょうか。

 東京都によると、オリンピックの経済波及効果は3兆円。そのおこぼれにあずかりたいと考えるのは、無理もありません。一方で、IT産業に限っていえば、それ以上の「大物」が、多くのベンダーの期待を集めています。それは「オープンデータ」。

 オープンデータは、政府のIT戦略「世界最先端IT国家創造宣言」で重要施策に位置づけられ、IT投資の直接効果が年間1兆~1.5兆円、経済波及効果は5.5兆円ともいわれます。オリンピック以上の巨大な経済効果が見込まれるというのは、「情報」というものの価値の大きさを再認識させてくれる――そんな気がします。

 景気のいい話ではありますが、オリンピックにしろオープンデータにしろ、口を開けていれば誰かがお金を放り込んでくれるものではありません。ITベンダーに、これらをどう自分たちのビジネスに結びつけるかというアイデアがなければ、その恩恵にあずかることはできません。派手な数字に踊らされることなく、抜かりなく情報を収集しながら、冷静・大胆にビジネスチャンスをうかがうことが大事です。(本多和幸)

【記事はこちら】
オープンデータ 5.5兆円市場への遠い道のり 東京五輪よりも大きい経済効果の本質
メールマガジン「Daily BCN Bizline 2013.10.8」より
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