うちにも来ているよ、IBMからの例の案内――。IBM製品を扱うSIerに届いた案内状には、「IBM製品は原則として来年1月1日からVAD(付加価値ディストリビュータ)を通じて行う」と書かれているそうです。
日本IBMは、これまでVAD経由での販売を推し進める一方で、一部の大手SIerとは直接取引を続ける二足のわらじの状態が続いていました。しかし、初心忘るべからずで、来年からはVAD振興策に一本化。「販社との直接取引は原則としてやめるので、製品はVADから仕入れてほしい」というわけです。
色めき立ったのは、国内VAD主要3社。国内VAD専業会社として最も早い2005年に設立されたJBグループのイグアスは、日本IBMと直接取引していた一部大手SIerの取引合計を150億円と見積もっています。
単純計算で少なくともこれだけの額がVAD主要3社の売り上げに振り分けられるわけですから、水面下で激しい顧客争奪戦が繰り広げられるのも無理からぬこと。
冒頭のIBMから案内が来たSIer幹部は、「普通に考えれば、営業面や技術面でうちのビジネスに協力してくれるVADから仕入れることになる」と、単なるディストリビューションではなく、文字通り付加価値を求めていると話していました。(安藤章司)
【VAD戦略の記事はこちら】
日本IBM、「流通チャネル」を立て直す 主要取引先を3社に絞るメールマガジン「Daily BCN Bizline 2013.11.21」より