北斗七星

北斗七星 2014年2月17日付 vol.1518

2014/02/20 15:38

週刊BCN 2014年02月17日vol.1518掲載

▼寄席では、最後に演じる落語家が演者向けのギャラをすべて受け取る風習があった。「トリ」という言葉は、そこから派生したといわれる。他の演者のギャラは、トリを務める落語家が決める。ノーギャラとはいかないので、興行成績が悪いと、トリが身銭を切ることも。真打の落語家でも、客を呼べなければトリは務まらない。

▼IBMは、1月23日、x86サーバー事業をレノボに売却すると発表した。x86サーバーはコモディティ化の領域に入って久しいだけに、業界の反応は冷静だ。レノボはどうか。IBMのPC事業を買収した当時は、実力不足の感が否めなかった。今ではトリを務めるかのごとく、PC市場を総取りする勢いだが、PC市場そのものが縮小傾向にある。客を呼べなくなっているのだ。

▼大手IT企業は今、IaaS/PaaS事業に力を注いでいる。各社の取り組みは順調だが、既視感がある。IaaS/PaaSは基盤サービスであり、機能による差異化は本質ではない。x86サーバーとどこか似てないか。それでもいい。新たなイノベーションが起きてこそのIT業界。次のステージが待っている。立つトリ跡を濁さず、だ。(風)
  • 1

関連記事

米IBM x86サーバー売却の衝撃 IT業界に広がる波紋

IBM、x86サーバー事業譲渡後5年間は保守サービスを継続

米IBMの年次イベント「PWLC」始まる、日本からは40社79名が参加

PWLC 2014、「IBMは変わる。ビジネスパートナーも変わってほしい」