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OBCのサプライズ

2014/07/09 15:26

 中堅・中小企業向け会計ソフトでトップシェアを誇るオービックビジネスコンサルタント(OBC)が、個人事業主向けにクラウド会計システムのベータ版を出しました。競合各社やパートナーに、大きな驚きをもって迎えられたに違いないこの発表、ポイントは大きく二つです。

 一つは、OBCが個人事業主という新しい市場に参入を試みていること。そしてもう一つは、OBCがついにSaaS商材を世に出したことです。既存の有力会計ソフトベンダーでクラウド商材に本腰を入れているのは、ピー・シー・エーくらいといっていいでしょう。彼らのビジネスはパートナーによる間接販売が基本ですが、多くのパートナーは、まだクラウド商材を積極的に売ってストックビジネスを柱にする体制にはなっていません。

 中堅・中小企業よりさらに小さなスモールビジネス市場を中心に、クラウド会計ソフトで急伸している注目の新興ベンダーに、freeeがあります。佐々木大輔代表取締役は、「既存のキャッシュフローがあるベンダーが、クラウドネイティブのビジネスに対応するのは至難の業だろう」と話していましたが、OBCは、まさにそうした呪縛が存在しない、OBCにとっての新たな市場でクラウドの実験を始めようとしているわけです。

 中堅・中小企業向けに業務ソフトを提案している販社は、この動きを他人事(ひとごと)として傍観していていいのでしょうか。「クラウドを売る」という選択肢は、もはや拒否できないもののはず。OBCの今回の動きが、自社のビジネスに直ちに影響はないとしても、クラウドの波は、基幹系のソフトウェアにも確実に押し寄せていると、あらためて肝に銘じるべきでしょう。(本多和幸)

【記事はこちら】
OBC 満を持してスモールビジネス市場に進撃 クラウド戦略を仕掛ける叩き台か
メールマガジン「Daily BCN Bizline 2014.7.9」より
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