北斗七星

北斗七星 2014年9月8日付 vol.1545

2014/09/11 15:38

週刊BCN 2014年09月08日vol.1545掲載

▼国の2015年度予算の概算要求が出揃い、総額は、過去最大の101兆円規模に膨れあがった。社会保障費や国債費の増大が大きな負担となってのしかかるなか、経済界からは成長戦略への投資に対する期待も大きい。財務省と各省庁の激しい攻防が年末まで繰り広げられる。

▼概算要求では、どんな組織も、前年度の実際の予算よりもいくらか大きめの額まで積み上げるのが慣例となっている。しかし、異例の減額要求となったのが、理化学研究所(理研)だ。組織改革を重視して、新規事業への投資を抑えたためと報じられている。つまりは「みそぎ」ということなのだろう。概算要求の仕組みの是非は横に置いても、何とも後ろ向きの判断だ。

▼スーパーコンピュータ「京」を富士通と共同で開発し、IT産業にもなじみの深い理研は、自然科学の総合研究所として、国際的にも高い評価を獲得してきた。露呈した課題の大きさを考えれば組織改革は絶対に必要だが、それと新しい研究に投資することは別の問題ではないか。理研の真のみそぎになるのは、STAP細胞騒動を過去のものにするような画期的な研究成果を世に出すことだけだ。(霞)
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