ITベンダーが、新規顧客獲得のために、顧客接点の入り口としてよく活用するのがセミナーです。不特定多数のユーザー企業に対して、効率よく自社製品をPRできることが最大の利点です。チラシを配布したり、メルマガを配信したり、メディアに広告を出したりなど、対象層に対して大規模な告知を行って集客しています。

　しかし、同じITベンダーが中国などの海外で行うセミナーの場合、こうしたメディアの活用だけでは、簡単に多くの参加者を集めることはできません。なぜなら、日本で名の知れたIT企業でも、海外で知名度が高いケースは稀。とくに海外の日系企業は、専任の情報システム担当者がおらず、現地の経営者が人事、総務、経理、情報システム管理を片手間で兼務しているケースが往々にしてあり、ITに関するセミナーというだけで、参加へのハードルが高くなってしまうのです。

　ITにさほどくわしくないユーザーの心をひきつけるには、親しみやすいコンテンツを用意することが有効です。例えば、SCSKの中国現地法人は、日系企業の経営層なら誰もが知りたい中国で運用する人事処遇制度についての講演を交えるなど、工夫を凝らしてユーザーの参加意欲をかき立てました。これによって、一般の日系IT企業が開催するセミナーの参加者が30人程度のなかで、約120人の集客を実現しました。中国で実施するITセミナーでは、IT以外のコンテンツも提供することが有効のようです。（上海支局　真鍋武）

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