海外進出を積極的に進めるNTTデータの幹部にインタビューしたとき「ITに地の利はない」という話が出ました。“地の利”を求めて海外進出先をアジア近隣に求めることが多い日本のITベンダーですが、アジア近隣の市場でも常にライバルとなるのは、やはり「欧米有力ITベンダー」だといいます。
つまり、欧米ITベンダーに勝たなければ、とりわけ当該国の地場ユーザーからの受注は望み薄ということになるわけです。逆説的ですが、もし、世界トップクラスの競争力を持つ欧米ITベンダーをしのぐ商品やサービスを日系ベンダーが打ち出せれば、近隣アジアどころか、大きな購買力をもつ欧米市場の本丸へ攻め込めるということです。
実際、日系ユーザー企業や、ASEANをはじめとするアジア地域で活発な政府開発援助(ODA)関連の案件ではない限り、地の利を生かすのは難しく、NTTデータでは「アジアに捉われず、世界の有力市場を狙っていく」方針です。
アジア近隣は確かに移動時間や時差が少なく、文化・生活習慣が似通っている親しみ感はありますが、少なくともITビジネスにおいては、こうした“地の利”への過信は避けたほうがいいのかもしれません。(安藤章司)
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<トップインタビュー>NTTデータ 代表取締役社長 岩本敏男 私たちの流儀で世界のトップに立つメールマガジン「Daily BCN Bizline 2015.2.26」より