IT業界は、どうしてもアルファベット3文字用語が多くなってしまうのですが、顧客によりよく理解してもらうには、やはり適切な訳語があったほうが便利です。訳す方法についても、例えば、ERPを「企業資源計画」と直訳するより、「統合基幹業務システム」と意訳したほうが伝わりやすい。
データベースを統合して、販・財・給の企業全体の経営資源を一体的に管理するERPの趣旨を理解しないと、「統合基幹業務」とは訳せません。つまり、売り手も、自分たちが売ろうとしている商品が何なのかを理解するところから始まります。
昨今、「SoR/SoE」という言葉をよく耳にします。前者は「記録型システム」と訳すとして、後者の「エンゲージメント」がくせ者で訳しづらい。エンゲージメントは、婚約、約束、絆などの意味ですが、先日、「価値創出型システム」と訳されているのを目にしました。
なるほど、SoRのような業務効率化を目的としたシステムと対比して、顧客のビジネスに直結し、売り上げや利益を伸ばすことに主眼を置く意味を汲み取って「価値創出型」と訳したわけですね。
IoT/ビッグデータは、「モノのインターネット」などと訳されていますが、いまだコレといった枠組みが確立し切れていないこともあって、意訳することは難しいようです。顧客の腹に落ちるような言葉で表現するには、まず明確な実態をつくりあげるところから着手しなければならないということでしょうか。(安藤章司)
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連載「異次元のビジネス創出 オープンイノベーション」の記事一覧 メールマガジン「Daily BCN Bizline 2016.12.01」より