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日本HPの個人向けPC事業戦略、新規ユーザー層の開拓目指す

2009/12/01 18:45

 日本HPは、OSにWindows 7を採用した個人向けのデスクトップPCを6シリーズ、同じくノートPCを8シリーズ、ラインアップとして揃えている。

 デスクトップは、オールインワンPC3機種のうち2機種がマルチタッチ対応の「HP Touch Smart 600PCシリーズ」と「同 300PCシリーズ」で、写真をスライドショー形式で表示してフォトフレームのように楽しめたり、お気に入りのビデオクリップの検索・再生・編集ができたりする独自のソフトウェア「HP Touch Smartソフトウェア V3.0」を搭載する。

 森英雄・パーソナルシステムズ事業統括モバイル&コンシューマビジネス本部プロダクトマネージャは、「XPの時からタッチインターフェイスの開発に投資してきた。今後も製品を拡大していきたい」と、さらなるマルチタッチ対応製品のラインアップ充実を明言した。

 マルチタッチ非対応の「HP Pavilion All-in-One PC MS200シリーズ」は、電気機器の省電力化プログラムであるエナジースター5.0に対応。18.5インチワイド液晶を備え、7200rpmのHDDで「大画面でありながら消費電力の削減に貢献するのが特徴」(森マネージャ)とアピールする。

森英雄・パーソナルシステムズ事業統括モバイル&コンシューマビジネス本部プロダクトマネージャ

 ノートPCは、超低電圧版(CULV)CPU搭載のモバイルノート3機種「HP Pavilion Notebook PC dm3シリーズ」やCore i7搭載の「HP Pavilion Notebook PC dv7シリーズ」、デザイナーズエディッションのミニノートPC「HP Mini 110」などを投入。この2製品を主力に据える。

 この秋冬、メーカー各社はCULV CPU搭載PCを数多く発表している。「現在PCは供給側で飽和状態にある。そのなかで、CULV CPU搭載のモバイルノートは新しいマーケットであり、注目度は高い」(菊地友仁・パーソナルシステムズ事業統括モバイル&コンシューマビジネス本部プロダクトマネージャ)と期待を寄せる。

菊地友仁・パーソナルシステムズ事業統括モバイル&コンシューマビジネス本部プロダクトマネージャ」

 競合他社との差異化は、デザインと仕様で勝負する。「2006年頃からデザイン性を打ち出し、力を入れてきた。例えば左右非対称の柄のPCが多くある」(菊地友仁・プロダクトマネージャ)。「dm3シリーズ」のボディにはフルメタル合金を採用し、ビジネスマンに訴求する堅牢性を備える。

 「Mini 110」のボディは、有機的デザインで知られるデザイナーのトード・ボーンチェ氏によるもので、「30歳前後でデザインに興味がある女性」(菊地マネージャ)に向けたミニノートPCだ。同社が直販のみを手掛けていた時期は、「ユーザーの90%以上が30代の男性だった」(菊地マネージャ)ということもあって、新たな顧客層を開拓する戦略的製品と位置付ける。

HP TouchSmart 600PCシリーズ(左)と、HP Pavilion Notebook PC dm3シリーズ(右)

 
 

 同社には、過去に店頭販売から撤退した苦い経験がある。現在は、ヨドバシカメラやビックカメラ、ソフマップを中心に製品を展開し、上新電機やケーズデンキにも一部製品が並ぶ。山崎健・パーソナルシステムズ事業統括モバイル&コンシューマビジネス本部コンシューマ営業グループ担当部長は、「販売チャネルはまだまだ弱い。テコ入れしなければならない」として、販促の強化や取扱い量販店の開拓を進めていく方針。ネットの動画配信によるプロモーションを検討しており、ニコニコ動画やユーチューブを活用していく考えだ。

山崎健・パーソナルシステムズ事業統括モバイル&コンシューマビジネス本部コンシューマ営業グループ担当部長
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