頂上熱戦

【頂上熱戦】「ヘッドホン・イヤホン」(前編) オーディオテクニカとソニー

2010/09/09 18:45

週刊BCN 2010年09月06日vol.1348掲載

 本連載「頂上熱戦」では、2社のIT・家電メーカーに“同じ内容の質問”を投げかけ、その回答を紹介する。(前編)では「製品戦略」を、(後編)では「販売戦略」を問う。

Question. 製品戦略は?

【共通質問事項】 (1)現在の市場について (2)強み (3)ターゲット

(左から)オーディオテクニカSOLID BASSシリーズ(ATH-CKS90)、ソニー「MW600」


Answer.オーディオテクニカ

黒田哲雄
ゼネラルサポート部
営業企画課
マネージャー
(1)【市場について】エントリーからハイエンドまで幅広い製品が揃っているが、各社の製品特徴が明確ではなく、ユーザーにとっては選びにくくなっている。2008~09年に新たな市場として女性向けモデルが立ち上がったが、現在は頭打ちの状態だ。今年はスポーツ向けモデルに着目している。健康志向の高まりによって、2台目、3台目需要が見込める。他社からも製品が登場したことで、市場の盛り上がりに期待したい。

(2)【強み】これまで当社の製品は、ユーザーから「中高音域がいい」と評価されてきたが、09年6月、あえて低音を重視したカナル型イヤホン「SOLID BASS」シリーズを発売した。従来はここまで特定の音域にこだわった製品はなく、個性を強調するのは挑戦だったが、これが好評を博し、10年4月には後継機「ATH-CKS90」を投入した。その一方で、聞く音楽ジャンルを選ばないニュートラルな主力モデルにも、従来通り力を入れていく。オーディオアクセサリメーカーとして、音質は追求し続ける。

(3)【ターゲット】一つは、10~20代の若者だ。少子化で若年人口が減っていくなかでも、「ヘッドホン・イヤホンといえばオーディオテクニカ」と一番に当社をイメージしてもらえるよう、長期的な視野をもってファンを育て、彼らにリピーターになってもらいたい。そのためには、音質だけでなく、デザインや利用シーンを含めた複合的な提案が不可欠だ。もう一つは、ボリュームゾーンである20~40代を想定している。


Answer.ソニー

佐野孝典
AVペリフェラルMK課
統括課長
(1)【市場について】ヘッドホン・イヤホンは、接続する機器があって初めて活躍するもの。最近は、携帯オーディオや携帯電話、スマートフォン、PC、テレビなど、接続できる機器が多様化してきた。さらに、ユーザーの変化として、男女の好みの違いはもちろん、利用シーンやワイヤレスなどの利便性など、個人の志向が製品のニーズに強く反映するようになってきている。一方で、市場全体を概観すると、単価の下落が目立ち、悩みの種だ。

(2)【強み】われわれは、携帯オーディオ「ウォークマン」をはじめ、携帯電話やPC、テレビなど、展開している幅広い機器を通して、ユーザーがどのようなAV環境を求めているのかを把握している。このメリットを生かして、ヘッドホン・イヤホン単体ではなく、接続機器を含めた総合的な提案ができる。これは他社にはない点だと自負している。例えば、スマートフォン「Xperia」向けにはBlue tooth対応のカナル型イヤホン「MW600」を訴求する、という方法だ。

(3)【ターゲット】主に携帯オーディオのユーザーを想定している。機器のカラーとコーディネートができるよう、カラーバリエーションを豊富に揃えている。年齢別では、若者から年配者まで幅広い人に使っていただきたい。しかし、例えば10代後半から20代の若者といっても、個人の嗜好はそのなかでさらに細分化しているので、それぞれのユーザーにふさわしいモデルを提案していく必要がある。(井上真希子)
  • 1

関連記事

<インタビュー・時の人>オーディオテクニカ 国内営業部 ゼネラルマネージャー 伊吹武恭

【店頭販売奮闘記】ソニー(前編) 若年層の開拓で巻き返し

【店頭販売奮闘記】ソニー(後編) 独自施工のコーナーで高音質をアピール