このところ、OSSの資格認定試験が続々と立ち上がっている。PHPをはじめとするOSS関連資格の研修や、ベンダー系の資格取得研修を手がけているNECラーニング、IT系の派遣会社であるテンプスタッフ・テクノロジー、そしてPHP技術者資格の認定を行うPHP技術者認定機構は、今年8月、テンプスタッフ・テクノロジーに登録しているウェブデザイナーを対象に「PHP技術者認定初級試験対策」コースを開講した。

　PHP技術者認定試験は今年の4月に立ち上がったばかりの試験だ。もともとデータベース（DB）を連動させたウェブアプリケーションを構築できる「LAMP＝Linux（OS）、Apache（ウェブサーバー）、MySQL（データベース）、PHP、Perl、Python（プログラム言語）」と呼ばれるなかの一つとして、名を連ねているPHP。企業が求めるスキルが拡大し、ウェブデザイナーであってもPHPのプログラミングスキルが求められるようになっている。以前からPHPプログラマに対する需要は高く、瞬間風速ではあるが7.6倍もの求人があったという。テンプスタッフ・テクノロジーでは「ウェブデザイナーのスキル支援を行うことで、雇用創出を積極的に推進していく」（東京エリアスタッフィング部 新宿Coセンター 村松克彦マネージャー）という方針を示している。PHPの技術を習得すれば、CMS（コンテンツマネジメントシステム）のカスタマイズや簡単なシステムなら丸請けでき、仕事の幅を広げることができる。

　「半年ほど前からOSSの技術研修の依頼が激増している」と話すのは、NECラーニングテクノロジー研修事業部 兼 営業本部の山崎明子グループマネージャーだ。商用製品との親和性が高まっているOSSが増え、官公庁では特定ベンダーによらないシステム構築が進んでいる。09年に野村総合研究所が調査した結果では、コストが削減できるとの理由からOSSを利用しているユーザー企業がおよそ8割に上った。OSSに関する技術研修の依頼が増えている要因として、山崎グループマネージャーは「オープンソースソフトウェアへの『安心感』が高まったためではないか」とみる。

　OSSの技術者認定試験については、今年6月にエルピーアイジャパンが、PostgreSQLを中心とするオープンソースデータベース（OSS-DB）技術者認定試験を立ち上げた。PostgreSQLは、日本ではSRA OSSが日本語機能の拡充を、NTT OSSセンタがエンタープライズ系の機能拡張を行ってきたことで、大規模システム環境にも耐えうる性能をもつという。日本オラクルも、8月から「MySQL」の認定資格試験の日本語化により、認定技術者拡大に力を入れ始めた。コスト削減や、安心感の向上で、注目度が高まるOSS。技術者認定試験は今後、大きな存在感をもちそうだ。（鍋島蓉子）