NTTデータ中国法人の北京NTTデータ系統集成(北京NTTデータ、玉置政一総経理)が、開発人員の増強に力を入れている。2011年末までには、昨年同期に比べて300人余り多い1300人体制に拡充する。日米欧からのオフショアソフト開発や、中国地場のシステム構築(SI)案件の増大に対応するためだ。また、年内をめどに中国における統括会社であるNTTデータチャイナと経営統合するなど、グループ再編も進める。
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玉置政一 総経理 |
北京NTTデータは、SIやソフト開発能力増強に向けて、中国地場での人材採用・育成に全力を挙げている。今年4月には中国内陸部の重慶に事業所を新たに開設するとともに、今年末までをめどに、中国における統括会社であるNTTデータチャイナと経営統合する。北京NTTデータは、これまでオフショアソフト開発を中心に手がけてきたが、NTTデータチャイナと経営統合することで、中国市場に向けたSIやアウトソーシングサービスなどのビジネス拡大に弾みをつける。
NTTデータは中国で2000人規模のスタッフを展開しているが、うち北京NTTデータの2011年7月時点のスタッフ数は約1070人と最大規模を占める。内訳は北京が約680人、天津が約220人、重慶が約50人、そしてブリッジSEなどを中心に東京で約120人のスタッフを抱える。中国での新入社員は秋入社が一般的なので、年末までには昨年同期比で300人余増のおよそ1300人の体制に拡充する見込みだ。新統合会社のNTTデータチャイナは、データセンター(DC)を活用したアウトソーシングサービスを強みとする無錫NTTデータと、日本向けのオフショア営業会社2社が今年7月に統合したNTTデータ・チャイナ・アウトソーシングを直属の傘下に収める。日本側のオフショア営業窓口を一本化し、新生NTTデータチャイナの直轄に再編することでオーバーヘッドロスを減らす。
日本国内での受託ソフト開発の需要は伸び悩んでいるが、一方で日本から中国へのオフショアソフト開発案件は、「ここ数年、金額ベースで年率3~5割で伸びている」(玉置政一総経理)と好調に推移。これに欧米のNTTデータグループからのオフショアと中国地場のSI案件の三つを事業の柱に据えて、中国での事業のより一層の拡大を狙う。ただ、北京・天津など中国沿岸部は、技術水準の著しい向上とともに人件費も内陸部に比べて割高で推移している。コスト削減に向けて、「例えば、設計に近いところは沿岸部で行い、開発部分は内陸部で行うなどの役割分担を明確化していく」(玉置総経理)と、開発案件の工程を分けるなどして変化に対応していく考えだ。(安藤章司)