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大震災に揺れた2011年のIT業界 「千年に一度」の経験を強みに
2011/12/22 14:53
週刊BCN 2011年12月19日vol.1412掲載
「千年に一度」といわれる巨大地震が日本を襲った。その1年が終わろうとしている。2011年は、あの大惨事に揺れた年だった。
IT業界も、東日本大震災の影響を受けた。発生したのは3月11日。多くの企業が決算の期末を迎え、年度末の追い込み営業と、来年度の計画を最終決定する時期だ。昨年度(11年3月期)の業績を下方修正した企業、「予測できない」として今年度の見通しを公表しなかった企業、そしてまた、中期経営計画を凍結した企業が相次いだ。富士通の山本正已社長は、昨年度の決算発表時には「合理的な業績予想の算定が難しい」として、通期見通しを発表していない。
サプライチェーンが乱れて部品の調達ができなかったり、調達できたとしても工場が被災して稼働できなかったり。製造できたとしても交通網が麻痺してユーザー企業に届けることができなかったり、さまざまな障害が起きた。そして、津波の発生から数時間後、福島第一原子力発電所の事故が追い打ちをかけた。電力供給不足が深刻化し、関東地区では、輪番停電の影響で通常業務の継続が危うくなった。富士通は昨年度の決算発表時、営業利益に与える大震災の影響を約120億円のマイナスとし、NECは約140億円の減益とした。精神的な苦痛と現実的なビジネスへの悪影響に、日本のIT産業も沈んだ。
だが、ITの価値が再認識され、新たなIT需要を生んだのもまた事実である。混乱を鎮め、正確な情報を伝達するための手段として最も力を発揮したのはインターネットだったし、震災後にBCP(事業継続計画)とDR(ディザスタ・リカバリ=災害復旧)を新たに立案・見直す動きがみられ、データの二重化ソリューションやバックアップシステムが伸びた。モバイル環境を整備しようとする動きもみられ、NTTコミュニケーションズが販売するモバイル環境構築クラウドソリューション「BizデスクトップPro」は、「震災前に比べて引き合いが5倍に増えた」(中山幹公・クラウドサービス部担当部長)という。クラウドの長所が理解され、普及が進んだのも、大震災の影響だろう。電力供給不足は、ユーザー企業に節電の大切さを改めて教え、省電力機器への買い替えを促した。
大震災直後、春から夏にかけて、IT業界ではBCPやDRに貢献するITソリューションを大々的には訴求しない傾向があった。「震災にかこつけて儲けようとするのは不謹慎だ」という心情が働いたからだ。だが、BCPやDRを実現するために、ITは不可欠なものとなる。煽るような言葉は慎むべきだが、ITができることを伝えることは、これまで以上に重要だと考える。
東日本大震災は世界で四番目に大きい地震という。「千年に一度」しか起きないともいわれる。それを経験した日本のITベンダーは、どの国にも負けない強いBCPやDRソリューションをもっているはずだ。それを世界に示すことは決して間違いではないと思う。(木村剛士)
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