電通国際情報サービス（ISID）が今年4月をめどにインドネシア・ジャカルタとタイ・バンコクの拠点を立ち上げる背景には、ASEAN地域で製造と消費の両方の市場が拡大していることが挙げられる。ISIDの得意業種の一つに製造業があって、とりわけシーメンスPLMソフトウェアのプロダクトライフサイクル管理（PLM）の販売では、「アジア地域でトップクラスの販売実績をもっている」（釜井節生社長）ということから、これをASEAN地域に進出する日系製造業にも横展開していく。

　同社では、ほかにも製品開発における構想・設計業務を支援する「iQUAVIS（アイクアビス）」を手がけており、ASEANを単なる製造拠点としてではなく、地場市場への進出を狙うメーカーへの売り込みに力を入れる。iQUAVISは、CADで詳細設計を行う前段階で、製品の大まかな設計諸元を決めるプロセスを支援するもので、設計や製造の工程よりも上流に位置している。

　もう一つのポイントは、親会社である電通グループと連携した、主に流通・小売業界のマーケティング支援を重点ターゲットにしている点である。日本や中国、韓国などは先に製造業が立ち上がり、その後、消費市場が拡大する順序をたどったが、ASEANはむしろ消費市場が先に拡大する傾向が強い。ISIDはこうしたASEAN市場の特性にも着目し、マーケティングやCRM（顧客情報管理）などの面でもビジネスの成功につなげる考えだ。（安藤章司）