マイクロソフトが2012年に発売したOS「Windows 8」。タブレットメーカーは、ビジネス用途に適した特徴を評価し、Windows 8をOSに採用した企業向けタブレットの開発・販売に力を入れている。そんななかにあって、ITベンダーの有望商材として注目を集めているのは、ビジネスシーンでWindows 8タブレットを安全に活用することができるセキュリティのツールだ。ソフトウェアの販売を手がけるアシスト(大塚辰男社長)は、2段階のユーザー認証など、各種セキュリティ機能を統合的に提供する製品群「スマートセキュリティSuite」を、 2月上旬に発売した。「スマートセキュリティSuite」はどんな製品なのか。アシストの担当責任者にたずねた。(取材・文/ゼンフ ミシャ)
「スマートセキュリティSuite」とは、モバイル端末管理(MDM)ツール「Optimal Biz for Mobile」と情報漏えい対策「秘文シリーズ」を中心に、複数の製品で構成するスイート製品だ。アシスト独自の実装キットを組み合わせて、ユーザー企業は簡単に、すばやくWindows 8タブレットのセキュリティ対策を施すことができる。
SaaS型で導入しやすく
「スマートセキュリティSuite」は、大きく四つの活用シーンを想定している。まず、タブレット端末の紛失・盗難による情報漏えいを防ぐこと。端末のログオン時とスリープモード解除時に、認証を2段階に設定することによって、セキュリティを強化。さらに、ドライブの暗号化やSDカードなど外部メディアの暗号化で、企業のデータを保護する。ブラウザベースの管理コンソールを備え、簡単な操作で端末をリモートロックすることができる。

伊藤雄介 副部長 クラウドストレージを利用する際のデータ漏えい対策も図る。Windows 8で簡単に利用できるオンラインストレージにアップロードするデータを自動的に暗号化して保護する。また、アカウントに紐づくアクセス制御によって、企業ごとの機密性を確保しながら、ファイルを共有することができる。鍵は独自サーバーで管理するので、アカウントが漏えいしてもストレージ内のデータは参照できず、データ漏えいの心配はないという。このほか、セキュリティのリスクがある外部Wi-Fiスポットへの接続を制限し、企業が許可した安全なWi-Fiスポットだけを利用させて、端末上の不正なアプリケーション利用を制限する。
サーバーなど、専用のハードウェアが不要なSaaS型で提供し、年間利用料は端末1台あたり9800円。「価格を1万円以下に抑えることによって、導入のハードルを下げ、販売の活性化につなげたい」(システムソフトウェア事業部 技術2部の伊藤雄介副部長)としている。直販を中心に展開していく。
法人市場での普及を見込む

中澤浩二 課長 アシストが「スマートセキュリティSuite」を投入した背景には、法人市場でビジネス用途に適したWindows 8タブレットの普及が見込まれていることがある。「ユーザー企業はタブレットを活用して、業務を改善したり、新しいサービスを創出したりすることを考えているので、端末の利便性を損なうことなく、安全な利用ができる環境をいかにつくるかが課題」(システムソフトウェア事業部 技術2部の中澤浩二課長)とみて、「スマートセキュリティSuite」の提案に力を注ぐ。今後1年間で、7000本の販売を目指すという。