シスコシステムズ(デイヴ・ウエスト社長)は10月8日、事業戦略発表会を開き、直近一年の総括と2020年度の事業方針を説明した。従来の方針を継続してSMBのデジタル化を支援する商材の拡販や5Gサービス向けの提案に注力する。

デイヴ・ウエスト社長

 同社は近年強化してきたSMB向けのビジネスでSOHO向けまで製品ラインアップを拡大しており、18年7月末のウエスト社長の就任以降、より多くの顧客へリーチするためにオンライン販売による直販を開始。SMBのデジタル化を推進するための部署も設立した。鎌田道子執行役員(SMB・デジタル事業統括)は「オンラインの販路を増やしたことで売り上げが高まっただけでなく、お客様の声を直接拾えるようになった。これをパートナーと共有することで間接販売にもいい影響が出ている」と分析する。また、5Gのセグメントでは10月にサービスを開始した楽天の完全仮想化ネットワークのインテグレーションを担当するなどプレゼンスを高めている。

 これらの要因から同社は、シスコシステムズのグローバル法人の中で最も高い収益を上げたとして19年度の「シスコ カントリー オブ ザ イヤー」を昨年に引き続き獲得。ウエスト社長も、社内の活性化やパートナーとの協業の成果だと強調した。

 20年度の事業方針としては、ユーザーやパートナーとの関係性の深化に重点的に取り組む。業種業態ごとに特化した提案を強化していくほか、エコシステムの拡充・活性化によりパートナーとのソリューションの共創を進める。また、引き続きSMB向けビジネスをを拡大させていくべく、マーケティングと営業組織を一元化したバーチャルデマンドセンターを新設し、マーケティングから商談クローズまでのプロセスを最適化していく方針だ。

 日本社会全体のデジタル化への貢献も目標に掲げる。米シスコシステムズには現地法人を置く国に対して中長期的に投資を強化する「Country Digitization Acceleration(CDA)」というプログラムがあり、フランスや中国、ドイツなどで新たな市場を創出した実績を持つ。同社は日本にもCDAを適用することを決定し、日本政府が呼びかけている「Society 5.0」に寄り添う形で“ヒト・モノ・カネ”を投資していく考え。鈴木和洋会長は「既存のマーケットの中で製品を提供していくだけでなく、今後は政府が掲げる成長戦略を支援することで新たなマーケット創出し、そこでわれわれのビジネスを成長させる」と語る。また、5Gについても引き続きリーダーシップをとっていく考えで、KDDIのコアネットワークパートナーに選定されたほか、NTTドコモの5Gモバイルバックホール構築を支援することが決定しているという。(銭 君毅)