RPAテクノロジーズ(大角暢之社長)は同社が提供するRPAツール「BizRobo!」の医療業界向けの提案を強化する。医師の人材不足や長時間勤務が問題視される中、事務系業務を中心に自動化のニーズが高まっており、社会課題の解決を同社のビジネスチャンスにつなげたい考えだ。

田尻義隆グループ長

 同社戦略事業本部事業開発部の田尻義隆グループ長は「RPAが一般企業に広がるにつれ、学校や地方自治体、病院といった公共セクターでもRPAを活用しようという動きができた」と指摘する。

 病院でのニーズは特に急成長しており、今年4月に名古屋大学医学部附属病院、7月に社会医療法人宏潤会大同病院、9月には東京歯科大学市川総合病院がBizRobo!を導入した。名古屋大学医学部附属病院では導入前の約3カ月間の実証実験で415時間以上の業務時間削減効果を確認したほか、東京歯科大学市川総合病院ではCT、MRI画像診断における医師の未読患者リストの印刷といった診療に関わる業務を自動化した。

 またRPAテクノロジーズは6月から、慈恵大学と医療分野におけるRPA活用の共同研究を開始するなど、市場開拓に積極的に取り組んでいる。

 医療分野におけるRPAニーズ拡大の背景には、近年問題視されている医師の過重労働がある。厚生労働省では状況を改善するべく、電子カルテなどのICTシステムの活用や、医師が抱える事務作業の他職種への移行(タスク・シフティング)といった施策の普及に努めている。田尻グループ長は「医師の本質的な業務は患者の対応にあるものの、診察内容のレポートなどの事務作業で大きな負荷がかかっていた。この業務を医療事務や医師補助へとシフトすることで省力化はできる。RPAはこれをさらにデジタルレイバーへとシフトすることで医療事務・医師補助がより強力に医師をサポートする環境を作れる」と強調する。

 医療の現場でITシステムの導入やタスク・シフティングが進むことは、業務プロセスの見直しが進むということであり、RPAによる自動化の下地ができるということでもある。そのため、IT活用やタスク・シフティングに積極的に取り組む大規模病院を中心に、RPAの導入環境が整いつつあるという。

 人材が不足している病院では「現場主導のボトムアップ形式で導入、運用する」(田尻グループ長)ことが重要になる。同社のいずれの導入事例でも医療事務担当者がロボットを作成・運用しており、ノンコーディング・ノンプログラミングで利用できるBizRobo!が威力を発揮しているという。ITの知識が少ない場合でもハンズオンセミナーを開催し対応している。

 田尻グループ長は「医療分野への導入はまだまだ始まったばかりでこれからという段階。まずはある程度システム化が進んでいる大学病院などの大規模な病院をターゲットに事例を作り、これを水平展開していく形で徐々に広げていきたい」と話す。業界全体のRPA導入への抵抗感を減らしつつ、中小病院への足掛かりとする構えだ。また、「今後の本格的な普及に備え、医療分野のノウハウを持つ企業とは積極的にパートナーシップを組んでいきたい」と意気込みを語った。(銭 君毅)