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【Case 4――基幹業務システム】
富士通マーケティング
SMB向けの「GLOVIA smartきらら」を投入 前年度比2倍の伸び

渡辺雅彦
常務理事
副本部長 富士通マーケティング(FJM)は、基幹業務統合ソリューション「GLOVIA」シリーズのSMB向けラインアップとして、「GLOVIA smart きらら」を開発・販売している。「会計」を皮切りに「人事給与」「販売管理」と製品ラインアップを追加。会計と人事給与は、パッケージ版とSaaS版を両方提供している。
1990年代前半、富士通グループは会計・人事給与パッケージ「CAPSEL」シリーズをダウンサイジングした「JOYFUL」を開発し、販売パートナー経由で販売して大ヒットを飛ばした。この成功体験が「GLOVIA smart きらら」でも生きると見込んだが、そう甘くはなかった。
SaaSという新たな目玉は用意したものの、当初はパッケージ版が80%、SaaS版が20%になると見込んで、従来の「GLOVIA」シリーズの販売パートナーが「JOYFUL」と同じように拡販してくれると踏んでいた。しかし実際に発売すると、パッケージ版とSaaS版の比率は想定の逆で、初動ではSaaS版が80%を占める結果に。パートナーがドアノック・ツールとしてSaaSの目新しさに飛びついたことが理由だった。しかし、その目新しさも時間がたつにしたがって薄れてしまい、パートナーは粗利の低さにも不満を抱き、販売は停滞してしまった。
そこで同社がとった対策が、想定以上に需要があったSaaS版の拡販戦略の練り直しと、パッケージ版の販売の比率向上による従来型パートナーモデルの立て直しという「両面作戦」だった。まずSaaS版の拡販では、オンラインマーケティングを活用。製品のデモンストレーションを閲覧できる「ウェブ営業」の仕組みを構築した。ウェブで全国からリード(見込み客情報)を発掘し、それを現地のパートナーに提供するという営業方式を確立しつつある。また、パートナー自身が、このウェブ営業の仕組みを積極的に活用し、SaaSに適したより効率的な営業スタイルを模索する気運が高まっているという。
一方で、パッケージ版のテコ入れでは、「販売管理モジュール」を2012年に発売したことがターニングポイントになった。「GLOVIA smart きらら」の統合ソリューションとしての色合いが強まったことに加え、「販売管理はパッケージ版だけの提供なので、パートナーがユーザーに、従来型のSIをコアにした提案に力を入れた」(渡辺雅彦・常務理事ソリューション事業本部副本部長)ことが功が奏したようだ。
納入実績は数百社で、2012年度は、前年度比約2倍の伸びをみせている。
[経験した失敗] 過去に成功した施策を踏襲すればうまくいくと思っていた
[学んだ教訓] SaaSに適した売り方とパートナーのビジネスを考慮する
【Case 5――パソコン】
レノボ・ジャパン
ヘルプデスクサービスを拡充 従業員500人以下のシェアを向上
レノボ・ジャパンは、ここ数年の間、「低価格と高性能」を武器に、大手企業を中心とする法人市場で高いシェアを獲得し、事業を拡大してきた。しかし、外資系ベンダーにとってハードルの高いSMB市場に入り込むことができず、SMBをいかに開拓するかが悩みどころだった。
SMBといっても、パソコンに対する要望はさまざま。そんななかでレノボ・ジャパンが取り組んだのは、SMBを従業員の規模によって細分化し、それぞれのニーズを吸収して、製品や付随するサービスの開発に反映したことだ。
従業員10人前後の中小規模の企業は、ITの専門家が社内に存在しないことが多い。パソコンを家電量販店で購入するケースが多いとみて、量販店とともにヘルプデスクサービスを拡充。一方、500人前後の中堅規模の企業は、SFA(営業支援システム)などのITツールとパソコンを組み合わせて、生産性の向上を支える機能を盛り込んだ機種を投入した。
また、「ThinkPad」ブランドから、タッチ操作対応の画面を備え、ノートパソコンとしてもタブレットとしても活用することができる「X シリーズ タブレット」を発売した。1台であらゆる場所でさまざまな業務をこなすことが可能なことを訴え、コストに敏感なSMBに最適なモデルとして提案している。
「SMBにカスタマイズしたかたちで製品を展開する戦略を採り、ここにきて、SMB市場に入り込みつつある」(ロードリック・ラピン社長)と成果を語る。
[経験した失敗] SMBのニーズの把握を見誤った
[学んだ教訓] SMBをひと括りにせず、細分化して要望を分析すること
記者の眼
数が多くて1社あたりの単価が安い。だから手間もお金もかけずに効率的にユーザーを増やすことができないか──。ほとんどのITベンダーは、SMBを攻略するにあたって、そう思っているだろう。
それぞれの事例をみて感じるのが、ITリテラシーの乏しいSMBでも、大企業と同様にIT投資するかどうかを真剣に考えていることだ。ITのスキルを学ぶ時間が少なく、他業務との兼務でITの運用を行っている情報システム管理者に、IT製品・サービスを訴求するのは大企業相手よりも難しいかもしれない。
SMBのIT投資動向に詳しいIT調査会社のノークリサーチが今年6月に発表した「2013年版 中堅・中小企業におけるIT投資の実態と展望に関する調査報告」(2013年4月実施)によると、年商500億円以下のユーザー企業のIT投資額の年平均成長率(CAGR、2012年~17年)は、わずか0.04%。最も高い成長率が見込める層の年商30億~50億円のユーザー企業でも、CAGRは0.14%しか見込めないのが実情だという。SMBというマーケットは決して伸びるわけではない。つまり、成長率がほぼ横ばいのマーケットなので、これまでの提案方法では、SMBにこれまで以上のIT投資を促すことは極めて難しいということになる。
ノークリサーチは、そのなかでも「各IT投資分野に固有の課題やニーズが依然として存在する。年商や業種などの企業属性を踏まえたうえで、課題やニーズを解決するITソリューションを一つひとつ積み上げていくことが重要」と説いている。
かつて鹿児島県の中堅クラスの病院を取材した時、総務業務と情報システムの企画・運用業務を兼務する担当者はこう話していた。「東京に本社を構えるITメーカーが足を運んで、売り込みに来ることはある。しかし、どこのメーカーも営業活動が続かない。商売につながらないと判断したのか、1~2回来るだけでその後はぱたっとこなくなる。どこも同じ行動パターンだ。それでは信用できないし、投資意欲がそがれる」。
SMBとひと括りにせずにターゲットに置くユーザーの実状を把握すること。そして、継続的に提案活動を行うこと。地道な販売活動がSMBの引きつけるのに大切であることが、この特集で紹介した事例をみるとよくわかる。