中小企業で多くの活用が期待されるA類型
特徴的なソフトウェアの証明書発行スキーム JISAは事前登録制度で手続きを簡素化
●独自の機能要件が設けられる 中小企業では、当面、手続きが比較的簡単なA類型「先端設備」の活用が多数を占めるという見方が大勢だ。まずは、A類型の要件確認スキームを詳しくみることにする。
とくにソフトウェアは、対象設備のなかでも特殊な位置づけにある。というのも、A類型は、要件の一つに「従来と比べて年平均1%以上生産性が向上する設備」であることが掲げられているが、ソフトウェアはそうした観点で性能を数値化することが難しい。そこで、独自の機能要件が設けられている。
具体的には、「生産情報」「販売情報」「在庫情報」「顧客情報」のいずれか一つ以上を収集する機能を実装し、収集した情報にもとづく分析・指示機能を備えている必要がある。財務・会計や人事給与ソフトなどは対象外だ。具体的な対象ソフトウェアの種類については、証明書発行団体であるJISAが例を示している(図4参照)。
また、もう一つの要件である「最新製品であること」については、「発売から5年以内でメーカー最新モデルであること」、もしくは、「発売年度が導入年度の前年度以降であること」のいずれかを満たせばいい。
証明書の発行フローは、基本的に、ユーザーが販売店やメーカーに証明書の発行を依頼し、そこから工業会、ソフトウェアであればJISAに証明書の発行申請がなされることになる。JISAは、ここで独自の施策を打ち出し、手続きの簡素化を図ろうとしている。それが、パッケージソフトの事前登録制度だ。
本来、証明書の発行申請には、申請書と、機能要件のチェックリスト、機能要件の確認書、さらにはその根拠資料の4種類が必要になる。しかし、証明書発行に必要な要件を満たしていることが事前に認められたパッケージソフトについては、申請書とチェックリストだけで証明書の発行が可能になる。
●事前登録は製品PRにも役立つ 
JISA
田中岳彦
企画課長 JISAは、証明書発行のパターンを、第1類型=事前登録済みのパッケージソフト、第2類型=事前登録していないパッケージソフトやスクラッチ開発、第3類型=ユーザー自社開発、第4類型=事前登録済みパッケージソフトの商社的販売──という四つの類型に分けているが、第1類型と第4類型が書類を省略できる。また、事前登録済みのパッケージソフトは、カスタマイズしていても、申請書類は省略できる。
JISAの田中岳彦・企画調査部企画課長は、「事前登録したパッケージソフトは、JISAのホームページで公開する。この措置は、ユーザーや販売店にとっての利便性はもちろん、メーカー側の製品PRにも役立つ。これを機会に、従来、受託ソフト開発などを手がけてきて、特定業務分野の独自ノウハウなどをプロダクト化、パッケージ化したいと考えているベンダーにとっても、ビジネスチャンスにつながる」と、その狙いを話す。事前登録には、1万円の登録手数料がかかるが、JISA会員は無料だ。
また、工業会側は、実際にそのソフトウェアを起動させて機能を確認するわけではなく、申請時の書類にもとづいて機能要件を満たしているかどうかのチェックをするだけで、いわばセルフチェックを追認するかたちになっている。田中企画課長は「今回の税制には多少ファジーなところがあって、対象になるかならないかは申請者の説明にかかっている部分がある。逆にいえば、機能要件を満たしているという説明さえつけば、幅広い製品が対象になる可能性がある」と、メーカー、ベンダー側が工夫しながら制度を有効活用することを促している。
なお、証明書の発行は有料で、JISAの証明書発行手数料は、事前登録ありのソフトは1通あたり3000円、事前登録無しの場合は6000円だ。
●サーバーはメーカーがデータベース化 
NEC
岡田英彦
シニアマネージャー 一方、サーバーをはじめとするハードウェアについては、JEITAが証明書発行の窓口になっているが、こうした事前登録制度は現在のところ打ち出されていない。ただし、NECの岡田英彦・ソリューションプラットフォーム統括本部商品マーケティンググループシニアマネージャーは、「独自に対象機器のデータベース化を進めている」と話す。同様の動きは、他メーカーでも出始めており、メーカー主導で手続きの効率化が進んでいきそうだ。
ちなみにJEITAの証明書発行手数料は、申請者が会員の場合は1000円、非会員は3000円となっている。
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