――2023年の総括を。

　お客様の中で、データを活用して経営を変えたいという流れが加速したため、さまざまなビジネスやプロジェクトに取り組むことができ、大きな躍進を遂げた1年だったといえる。その象徴として、23年11月に都内で開催したイベント「Google Cloud Next Tokyo ’23」には1万5000人が登録、大盛況だった。
 
――23年はパートナープログラムを刷新したが、パートナービジネスの状況は。

　マルチクラウドとデータ活用の観点で当社の製品を取り扱うパートナーが増えている。お客様のイノベーションを実現するためには、お客様を深く理解しているパートナーと一緒でなければできないため、パートナー制度の改革を進めてきたが、今後も必要な部分を拡充していく。

データで日本を元気に

――顧客はどのような課題を抱えているのか。

　経営者の方々からは、「長年、クラウドを活用したことでコスト削減にはつながったが経営に役立つクラウドがほしい」「AIドリブンイノベーションに取り組みたい」「生成AIのPOC（概念実証）を進めてきたが、ハルシネーション（AIが事実に基づかない情報を生成する現象）の影響で、業務では使用できない」といった声をいただくことが多く、われわれが一緒になって解決していきたい。

――24年の注力ポイントは。

　開発向けのプラットフォーム「Vertex AI」、ユーザー向けの「Duet AI」、パートナーエコシステム、世界トップクラスのグーグルのインフラで構成する生成AIポートフォリオにより、お客様が“大胆かつ責任あるAI”を実装できるようにしていく。Vertex AI上の「Model Garden」には、「Gemini」をはじめとした当社のAI基盤モデルに加え、パートナーのAI基盤モデルも用意しており、お客様は必要なモデルを利用することができ、アプリケーションを開発するために必要な機能も提供している。

　生成AIを活用していくには、非構造化データから生成AIに必要な価値を抽出することが重要になる。また、ハルシネーション対策としてグラウンディング（回答する情報を信頼できるソースから参照すること）をしなければならない。今後、この二つに注力していく。

　Duet AIでは、24年中に「Duet AI for Google Workspace」の日本語対応を予定しているため、国内でも利用が増えていくと見込んでいる。

――今後の抱負を。

　技術の進化は激しく、変革が進む中で立ち止まってしまうと、日本は世界から後れを取ることになる。「データで日本の元気をつくる」ことを目標にパートナーと一緒に取り組みを進めていきたい。