Special Feature

IBMが展開する「地域DXセンター」 SI企業が地域経済に“溶け込む”足掛かりに

2025/07/07 09:00

週刊BCN 2025年07月07日vol.2066掲載

 日本IBMの中核SE会社である日本IBMデジタルサービスは、地域経済や教育機関、自治体との接点として、全国8カ所の「IBM地域DXセンター」をフル活用している。国内外のシステム開発の拠点をつなぐハブとしての役割に加え、地場企業やビジネスパートナーとの協業を通じて新しいビジネスや雇用の場を創出。さらに地域の教育機関と連携して、デジタル人材の育成に取り組んでいる。IBM地域DXセンターの先進事例を率先してつくり出してきた九州DXセンター(福岡県北九州市)を取材した。
(取材・文/安藤章司)
 

2年半で300人の雇用を創出

 日本IBMデジタルサービスは、2022年から全国に順次「IBM地域DXセンター」を開設しており、現在では北海道から沖縄県まで国内の8カ所に展開している。人員体制はパートナー企業の常駐人員なども含めて総勢2500人まで拡充されており、うち札幌、北九州、那覇に所在する地域DXセンターでは、BPO(ビジネスプロセス・アウトソーシング)事業も担っている。大口顧客に向けた出張所やニアショア開発の拠点という枠組みを越えて、地域経済や教育機関、自治体との密接な関係の構築を目指しているのが特徴だ。

 センターが目指す地域エコシステムの形成にいち早く取り組み、成果を挙げているのが「九州DXセンター」だ。九州DXセンターは22年11月に10人で立ち上げて以降、システム開発とBPOの二つの事業を軸に業績を伸ばし、パートナーの常駐人員を含めて300人余りの雇用を創出してきた。地域DXセンターの重要な役割である地場企業やパートナーとの協業や、地域の教育機関との連携によるデジタル人材の育成においても、着実に成果を挙げている。
 
日本IBMデジタルサービス
古長由里子 執行役員九州DXセンター長

 システム開発とBPOを一つのセンターで受け持つのは、「AIエージェントの普及によってシステム開発と運用・BPOの垣根が低くなる」(日本IBMデジタルサービスの古長由里子・執行役員九州DXセンター長)ことを見越しているからだ。日本IBMでは、現在は外部のBPO会社に外注しているような反復的な業務を中心に全体のおよそ25%がAIエージェントによって自動化され、AI活用を前提とした、業務フローとシステム開発、運用を見直す需要が高まると見ている。「AIにどれだけ仕事を任せ、人間がより付加価値の高い創造的な仕事に時間を割けるかが生産性の向上のかぎになる」と古長センター長は語る。

 日本IBMデジタルサービスの開発スタッフと、BPO事業を手掛ける日本IBMスタッフ・オペレーションズが九州DXセンターの中に同居し、AI活用を進めるユーザー企業の需要にワンストップで応えられる体制を整えている。
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  • 40社余りのパートナーと協業
  • 教育機関と人材交流を深める

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外部リンク

日本IBMデジタルサービス=https://www.ibm.com/jp-ja/about/subsidiaries/ijds

日本IBM=https://www.ibm.com/jp-ja