Special Feature
LINE WORKSが切り開く「現場DX」 さまざまな業務システムの起点に
2025/09/11 09:00
週刊BCN 2025年09月08日vol.2074掲載
(取材・文/大畑直悠)

「1.5歩」先の変革を支える
ツールとしての「LINE WORKS」はオフィスだけではなく、PCがない現場で業務に当たる作業員をスマートフォンやタブレットを通じて支援している。普及率の高いコミュニケーションツールの「LINE」と同じUIである強みを生かし、操作の習熟が容易といった点をセールスポイントとして、スマートフォンの普及と軌を一にして顧客層を拡大してきた。近年はコミュニケーション領域にとどまらず、顧客の業務課題をLINE WORKS上で解決する基盤として進化している。きっかけとなったのは、2023年4月に行われた、LINE(現LINEヤフー)のAI事業「LINE CLOVA」との統合だ。電話応対AIサービス「AiCall」や画像やPDFから文字情報をデータ化する「OCR」、カメラ映像の解析などができる「Vision」などを製品ポートフォリオに加えた。その後も、AI議事録「AiNote」やAI技術を活用したトランシーバーソリューション「ラジャー」などを矢継ぎ早に投入している。提供価値の大幅な拡大が追い風となり、25年7月にはARR160億円を達成した。
25年6月には文書処理自動化サービス「PaperOn」を発表。それまでOEMとして提供してきたOCRを進化させ、LINE WORKSの関連製品として商品化した。スマートフォンによる注文書などの読み取りが可能で、LINE WORKSを介して読み取ったデータを送信したり、承認や特定フォーマットへの転記といった作業も行ったりできる。

多様な領域へと伸長を続ける一方で、執行役員の大竹哲史・Chief Product Officerプロダクト統括本部は「現場の最前線で活躍するフロントラインワーカーの負荷を下げるソリューション」という点で一貫していると説明する。例えばラジャーでは、業務の特性上、テキストをベースとしたコミュニケーションだけでは不便な飲食店などの従業員向けに、音声認識や文字起こし技術を活用し、状況に応じて音声、チャット双方に対応できる仕組みとなっている。
また、LINE WORKSはさまざまなソリューションの入り口にもなっている。LINE WORKSのアカウントによるシングルサインオンで複数のソリューションにアクセスでき、PCがない環境でも、一つのアプリケーションから業務が完結する。大竹執行役員は「フロントラインワーカーのプラットフォームという位置付けで活用する顧客が増えている」とアピールする。加えて大竹執行役員は「顧客のDXを、“1.5歩”、支援するソリューション」だとも表現する。DXの1歩目として、多くの従業員が使いやすいLINE WORKSを導入し、これを起点にそれぞれの課題に応じたソリューションを取り入れることで、もう半歩分DXを進められる、というわけだ。
LINE WORKS以外の製品の販売も好調に推移しているものの、大竹執行役員は「まだまだビジネスチャットのベンダーというイメージは根強く、ここを変えていくのが現在の課題」と分析。コミュニケーション領域をフックとしつつ、顧客の課題に応じて、ラジャーやPaperOnといったサービスの訴求につなげる構えだ。
大竹執行役員は「企業のDXを進める上では、まずはコミュニケーション領域の製品を持つ当社が入り口となり、もう0.5歩分踏み出してもらえば、さらにその先へと進みやすくなるだろう」と話す。今後はAIに関する国際学会で論文を採択された実績などの発信に力を入れ、AI製品でも高品質なサービスを提供できる点の認知拡大を図る。生成AIやAIエージェント機能の実装にも取り組む。大竹執行役員は「気づかずして(生成AIが)入っていることが最も理想的」と話し、顧客の生成AI活用のハードルを下げる製品開発に力を入れる姿勢を示す。
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