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<ネットワークソリューション特集> エンタープライズは横ばいの状況が続くが 中堅・中小企業向けのネットワーク市場が急速に拡大 前編

2007/12/20 19:56

週刊BCN 2007年12月17日vol.1216掲載

勢いを増し「SME市場でトップを獲得する」
Coyote Point Systems
日本総販売代理店 ネットワールド

伸長を続けるCoyote Point Systems

 ロードバランサー市場は、エンタープライズがメインの市場となっていた。世界に目を向けると、ここ数年では、エンタープライズが横ばいとなっているなか、“スモール/ミディアムエンタープライズ(Small and Medium-sized Enterprise)以下SME”の伸長がめざましい。ロードバランサー市場においても、SME向けの製品が伸長しており、Coyote Point Systemsの成長をけん引している。成長を続けている同社の戦略について、Vice President・Sales and MarketingのRichard De Soto 氏に話を聞いた。

■市場が求める信頼性・高可用性

 Coyote Point Systems(コヨーテ ポイント システムズ)は、ウェブやFTPサイトに大量のトラフィックが流れたり、トラフィック量が大きく変動するサイト、データベースによるトランザクション処理やCGIスクリプトなどのタスクを集中的に稼働させるサイトなどに有効なソリューションであるロードバランサー「Equalizer」シリーズを提供している。

 ロードバランサーは、従来エンタープライズを中心に拡充されてきた。ウェブサイトやウェブアプリケーションの信頼性・可用性を飛躍的に向上させることができる半面、高価で運用にも高度な技術を有する専任のエンジニアが必要だったためだ。

 中堅・中小規模企業でも導入したいというニーズはあるものの、管理・運用工数やコストを考慮すると、導入に二の足を踏んでしまう企業も決して少なくなかった。

 そのようなロードバランサー市場において、急速に成長を遂げているのがCoyote Point Systemsである。同社は、ウェブサイトやウェブアプリケーションなどの信頼性・可用性を向上させつつ、導入・管理・運用しやすいアプライアンスを提供している。

■世界で数億社のSME市場がターゲット

 また、同社は従業員数が100人から1000人までの、いわゆるSME市場をターゲットとして製品の開発を続けており、SME市場でも導入しやすい価格帯の製品を投入している。

 なお、SMEを構成する企業は米国で540万社、欧州で530万社である。また、日本においては99.7%の企業がSMEに分類されるといわれている。

 SME市場は、それだけ巨大な市場といえよう。

 「世界規模でみれば、エンタープライズ市場は横ばいですが、SME市場の伸長は目を見張るものがあります。その市場に対して、合理的な価格帯で適切な製品・ソリューションを提供している当社も大きく伸長しています」と、Vice President・Sales and MarketingのRichard De Soto氏は語る。

 これまでロードバランサーは、エンタープライズ市場を主なターゲットとして伸長してきた。しかし、需要が一巡したこともあり、市場の伸びは鈍い。一方、SME市場は膨大な数の企業がひしめき合っており、世界的にみても、この市場の伸長がめざましい。同社の急成長のカギは、SME市場にあるとみて間違いない。

 このSME市場を構成する中堅・中小規模企業のなかには、業務アプリケーションをウェブ化したり、ネットワークを活用した業務生産性の向上を実現している企業も少なくない。Coyote Point Systemsは、そのようなニーズにも的確に応え、ECサイトや文教市場などでの導入もすすんでおり、中規模システムから大規模システムまで、幅広い市場で導入され、ユーザーからの支持も獲得している。

 同社は、本拠地を置く米国においても営業担当者をこれまでの2倍に増員したほか、欧州にオフィスを構えるなど、拡大している市場に対応している。「上場はしていませんが、利益は増大していますね」(Soto氏)と続ける。

■顕著化するニーズに応えたE550siを投入

 同社はこれまで「Equalizer E250si」「Equalizer E350si」「Equalizer E450si」に加え「E350si」と「E450si」用のオプションカードであるSSLアクセラレーションカード「XCEL(エクセル)」を揃え、多くのユーザーの声に応えてきた。

 今回、同シリーズの最上位モデル「Equalizer E550si」を市場に投入する。「Equalizer E550si」は、SME市場のデータセンタークラスで活用できるロードバランサーで、すべてギガビットポートで構成される。パフォーマンスと可用性が高く、データセンターのほか、サービスプロバイダなどでの利用が想定されている。

 「現在の製品ラインアップと比べると、対応できるサーバーの数が5倍に増えています」(Soto氏)とのことだ。多くのサーバーを活用している企業にとっては朗報だろう。

 エンタープライズ市場をメインに展開している企業が提供するソリューションのなかに、機能的に競合となる製品もあるが、Coyote Point Systemsの軸足はあくまでもSME市場にある。ハイエンドへの需要が高まっている市場に対して、同社からの1つの答えが「Equalizer E550si」である。

 Coyote Point Systemsは、SME市場に適した製品・ソリューションを提供し、SME市場においてトップシェアを獲得していく構えだ。

 インタビューの最後にSoto氏は「日本においてはもちろん、世界においてもSME市場でナンバーワンを獲得したいと考えています。この市場でCoyote Point Systemsの認知をさらに獲得していきます」と、今後の抱負について語った。

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