Special Issue

今、求められるバックアップ、SMB市場で頭角現す有力メーカー3社

2011/06/08 19:55

 東北地方太平洋沖地震を受けて、ユーザー企業では、情報システムの運用を見直す動きが顕著になってきている。自社でシステムを運用せずに、データセンター(DC)に預けたり、システムを二重化したりなど、万が一の事態に備えた対策を施す企業が増えている。

 この流れのなかで、改めて注目を集めているのがバックアップだ。稼働しているシステムが止まったときに備えて、データやシステム自体を複製し、早期に復旧させるソリューションだ。東日本大震災を経験した国内ユーザー企業は、今、バックアップシステムの構築を進めており、大きなニーズがある。外資系・国産問わず競合がひしめくバックアップソフト市場で、活発な動きをみせる3社の取り組みを紹介する。


 バックアップとは、簡単にいえば、コンピュータのデータを複製し保存すること。災害で情報システムが壊れたり、誤操作でデータをなくしたりしても、データの紛失を防ぐことができる。ディザスタ・リカバリ(DR)を実現するためには、欠かせない仕組みだ。

 企業規模を問わず、機密情報はすべての企業がもっている。だが、中堅・中小規模の企業では、潤沢なIT投資の資金がないことから、バックアップシステムを構築していない企業もある。それが東日本大震災で変わった。被災のあるなしにかかわらず、万が一の事態に備えて貴重なデータはバックアップしておかなければならないという機運が高まっているのだ。これは、企業規模を問わない。

 アクロニス・ジャパンのバックアップソフト「Acronis Backup & Recovery 10」は、中堅・中小企業から高い評価を得ている。その理由は、導入が容易だから。

 アクロニスは、わかりやすい操作方法で定評があるコンシューマ向けのバックアップソフト「Acronis TrueImage」をもっている。「Acronis Backup & Recovery 10」は、コンシューマ向けソフトで培った操作性を継承し、バックアップの専門知識に乏しい中小企業の情報システム担当者にも受け入れられている。5月には、中小規模企業向け障害復旧ソリューション「AUR」で無償キャンペーンを始めるなど、復興支援にも積極的で、存在感は増している。

 イメーションもまた、中小規模システムのバックアップ製品で注目を集めているメーカーだ。バックアップデータを保存する専用装置「リムーバブル・ディスク・ストレージ(RDX)」は、バックアップ機器として広く普及しているテープ装置に置き換わるハードウェアとして、実績を積み上げている。

 RDXは、テープ装置で行っていた運用方法を変更せずに、テープの10倍以上のスピードでバックアップができ、信頼性も高い。また、きょう体に2.5型のHDDを格納する差込口があり、データの容量を簡単に増やすことができるのも、中小企業から評価されている理由だ。

 IT資産管理ソフトに強いクオリティソフトも、競合製品と比較して約4分の1の価格の専用機器でアプローチしている。CDP(継続的データ保護)というバックアップ方式を採用することで、差分だけを複製するのが特徴。バックアップ時間の短縮に寄与するだけでなく、通信負荷を軽減できるメリットがある。価格と相まって、バックアップに二の足を踏んでいた中小企業には打ってつけの製品だ。

 情報のバックアップは、中堅・中小企業でも必須。震災はそれをより印象づけた。中小企業が使いやすいソリューションに仕立ててある3社の製品が注目を集めるのは、当然といえば当然といえる。今後存在感を増すのはますます必至だ。
  • 1

関連記事

アクロニス・ジャパン、中小企業向け障害復旧ソリューションの無償キャンペーンを開始

<ストレージ特集>長期安定が見込まれる有望なマーケット 企業内のデータ量急増が追い風

クオリティソフト、確実にバックアップ/リストアを中堅・中小向けに

バックアップの必要性 SMB市場で急増

外部リンク

アクロニス・ジャパン=http://www.acronis.co.jp/

イメーション=http://www.imation.co.jp/

クオリティソフト=http://www.quality.co.jp/