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<NAS特集>中堅・中小企業のニーズに応えるNAS 仮想化やクラウドなど多彩な機能を搭載

2012/01/19 19:56

週刊BCN 2012年01月16日vol.1415掲載

EMCジャパン
Iomegaブランドの新たな展開
EMCの技術・ノウハウを生かしたNASシリーズを提供

 1990年代半ば、画期的な大容量ストレージとして注目を浴びた「Zip」で中堅・中小企業(SMB)市場を切り拓いたIomega。EMCによって完全子会社化された2008年以降、IomegaはEMCが培ってきた技術やノウハウと融合したNASを市場へ投入し、SMBが抱えるニーズに応えている。現在、Iomegaブランドを展開するEMCのパートナー事業本部・IOMEGAビジネスグループ・グループリーダーの杉山聡氏とパートナー事業本部・IOMEGAビジネスグループ・テクノロジー・コンサルタントの渡口武氏が今後の販売戦略などを語った。

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パートナー事業本部
IOMEGA ビジネスグループ
グループリーダー
杉山 聡 氏
パートナー事業本部
IOMEGA ビジネスグループ
テクノロジー・コンサルタント
渡口 武 氏
ローエンドNASをSMB市場に投入

 「Iomega NASは、SMB市場のなかでもさらにローエンドとなる“超ローエンド”の市場を切り拓くための重要な製品と位置づけています」と杉山氏は説明する。

 同社の強みであるエンタープライズモデルとミッドレンジモデルに、エントリーモデルを加えることで、ラインアップがさらに強化された。杉山氏は、「エントリーモデルのIomega NASですそ野を広げ、上位モデルの訴求につながると期待しています」と語る。

ホームサーバーからワークグループ用途のラインアップを充実

 Iomega NASのラインアップをみると、デスクトップ型では、コンシューマ向けに特化したixシリーズとハイパフォーマンスモデルのpxシリーズがある。ixシリーズでは、RAID機能をミラーリングに抑えて低価格化を実現したix2-200、RAID5に対応したix4-200dを揃え、SMB向けホームサーバーとしての用途に応える。pxシリーズ(px4-300d、px6-300d)は、CPUやメモリなどを強化したモデルで、多人数で同時にアクセスすることが多いワークグループでの運用に適している。

 ラックマウント型では、1Uのpx4-300r、2Uのpx12-350rを用意。1UはHDDを最大4本、2UはHDDを最大12本まで搭載でき、オプションによるHDD拡張にも対応している。例えばpx12-350rでは、最大36TBまでストレージ領域を拡張することが可能だ。

NAS/iSCSI機能に加え、パーソナルクラウドを追加

 また、Iomega NASは、NAS接続のほかにiSCSI接続をサポートしている点も特徴だ。二つの機能が共存するという考えは、同社が提供するSMB向けストレージ「VNXeシリーズ」で培ってきた「ユニファイド・ストレージ」の思想を引き継ぐものだ。これにより、ハードウェアの購入費用や電力コスト、スペースなどの削減につなげられる。

 共通OSとなっているのは、同社が開発・提供するEMC LifeLine。最新のEMC LifeLine Ver.3では、インターネットを通じてNASにリモートアクセスする「Iomega パーソナルクラウド」に標準対応した。追加料金はかからず、ハードウェアの購入費用だけで利用できる。「“Iomega パーソナルクラウド”は、Internet環境でリモートアクセスを低コストかつ容易に構築できる機能です。とくに、これまでVPNを導入することが難しかった個人事業主のユーザー様などに訴求していきたい」と渡口氏は展望を語る。


 さらに、ネットワーク上にある他デバイスとファイル共有できる「デバイスコピージョブ」と「Iomega パーソナルクラウド」を連携させると、遠隔地にあるNASのデータをコピー(二重化)できるようになる。そのため「低コストのディザスタリカバリ用途としてのニーズも高い」と渡口氏は語る。

AVAMARとの連携や監視カメラの録画も容易に

 pxシリーズ向けには、重複除外を効率的に行うバックアップソリューション「AVAMAR エージェント」を搭載。例えば、AVAMARバックアップと連携で支店や営業所など分散設置したpxシリーズNASの共有データを重複除外でバックアップできる。

 メディアサービス機能としては、国内外のトップメーカーが提供するIPカメラをサポート。ネットワーク接続したIPカメラをIomega NASが自動認識し、録画機能やストリーミング再生などに利用できる。

 同社は今後、多様化するユーザーニーズに応えた機能を投入していく。すでに2011年11月には、スマートフォンやタブレットからNAS内のデジタルコンテンツを再生するアプリケーション「Iomega Link App」を提供した。現在はiOS版のみ提供しているが、今後はAndroid OSにも対応させる予定だ。

 最後に杉山氏は「“Iomega=Zip”というかつてのイメージを“Iomega=NAS”に変えていくために、パートナー様に対して、さまざまな宣伝活動やキャンペーンを進めていきます。そして将来的には販売チャネルを拡大し、SMB市場でさらに伸ばしていきたい」と語った。

 Iomega NASは、同社がローエンド市場を攻略するための非常に重要なキーとなっている。Iomegaブランドの新たな展開に、今後も市場から熱い視線が注がれる。

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外部リンク

EMCジャパン=http://japan.emc.com/