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<x86サーバーメーカー座談会 2013>メーカー各社、SMBの領域を攻める ――SMBやデータセンターが活況 新たな分野での伸長に期待

2013/06/27 19:56

週刊BCN 2013年06月24日vol.1486掲載

──続いて、パートナー様への支援体制についてお聞かせください。

小林(日本IBM) 昨年発表いたしましたPureSystemsについてですが、パートナー様に向けてはかなりの回数を重ねてハンズオントレーニングを行っていて、認定資格も用意しています。昨年秋ごろから受験がスタートしたのですが、すでに400名ほどが認定資格者となっております。また、これまではPureFlexの初期セットアップ作業はIBMが行ってきたのですが、今年からパートナー様も作業できるようになりました。PureSystemsについても、パートナー様が売りやすい環境が整ってきているのではないかと思います。また、PCサーバー&ストレージ販売フォーラムは今年で6年目となり、全国規模で展開し、各地のパートナー様よりご好評を得ています。

芝本(富士通) 昨年は、パートナー様の課題などに耳を傾け、それらを解決するさまざまな製品を出してきました。また、これまで製品ごとにバラバラにアプローチしてきたという反省がありますが、これらを「統合」し、一つの窓口でパートナー様をご支援できる体制を整えています。こうした取り組みを評価いただき、昨年度の日経BP社の「パートナー満足度調査」、「顧客満足度調査」にて、いずれも「PCサーバー部門」で初の総合1位をいただきました。これらは、パートナー様、お客様からのさまざまな改善のご指摘に愚直に対応してきた結果であり、パートナー様に感謝しています。

本永(NEC) 当社も、パートナー様への支援機能を集約しています。最近は、複雑なシステムになると、わからないことがあってもどこに問い合わせていいのかわかりにくいというケースも多いと思います。しかし「コンシェルジュ」という窓口を用意し、シングルウィンドウでご支援できるようになりましたので、うまく活用いただければと思います。

 また昨秋からIT/NW/スマートデバイスの旬なソリューションを紹介する「販売講習会」を全国規模で開催しています。実機を持ち込み、弾の強みをご理解いただくとともに、当社にとってはパートナー様の声を直接伺える貴重な場と考えています。

木村(デル) デルでは、直販だけでなく、間接販売にも力を入れており、各種パートナー様向けの教育プログラムや認証パートナー様と共同でマーケティングを展開するなどの支援を実施しております。また、サポートの体系を先日拡張しました。当社も問題の切り分けができる技術能力の高い部員が担当するメニューを拡充し、支援のための窓口を集約していこうと考えています。パートナー様に活用していただければと考えています。

高群(日立製作所) 当社でも、従来からセールスやエンジニア向けの各種技術者認定資格教育の実施やパートナー様のご要望に応じたトレーニングの強化に努めており、ITプラットフォームの統合組織で、パートナーサポートを推進しています。

──販売パートナー様の協力によって獲得できた主な事例について、お聞かせください。

小林(日本IBM) 「IBMは直販」というイメージが強いと思われているかもしれませんが、実際はパートナー様のおかげで採用されるケースが非常に多くあります。当社製品の特徴を熟知しているパートナー様が、お客様の課題を解決する提案を、お客様環境に持ち込んだマシンにて、迅速に検証し、IBM製品のValueを証明した結果、受注できたという事例がありました。

高群(日立製作所) 先進的な事例として、昨年10月にITpro EXPO AWARD 2012の大賞を受賞したDTS社様の「DaTa SuperExpress」というソリューションを紹介したいと思います。これは当社とDTS社様が共同開発したソリューションで、DTS社様のBIツール「BI NavigationStudio」と、日立が開発し、自社従来比約100倍のデータ検索処理性能をもつ高速データアクセス基盤「Hitachi Advanced Data Binder プラットフォーム」(*)をデータウェアハウスの処理基盤として連携させたものです。DTS社様のノウハウと、日立のビッグデータの処理基盤を組み合わせた、よい協業事例だと思っています。

本永(NEC)  SMB市場にマッチした6台程度の小規模サーバー統合の事例を紹介します。NECでは、少ない投資で簡単にシステムを仮想化できるよう、いくつかの仮想化ソリューションを用意していますが、パートナー様がこれを活用して、案件獲得につながりました。専用のストレージを持たず、サーバー上に仮想共有ストレージを作って、vMotionとHA機能を利用するプランなのですが、導入費用も約1/2で抑えられ、ストレージを置くスペースも予算も限られているとお困りのお客様に、大変ご満足いただくことができました。

木村(デル) パートナー様からシステム管理ツールの強化を求められてきておりましたが、ここにきてPowerEdgeサーバーに無料で添付される管理ソフトウェアが進化し、こちらを利用した運用実績が向上してきております。数台規模からでもパートナー様が一元管理できるところに、ベネフィットを感じていただいているようです。

芝本(富士通) 医療システムにおいて、パートナー様とお客様要件に対しきめ細かいカスタマイズ対応を実施し、多くのサーバーをご導入いただけました。これは、パートナー様と話す機会を多く持ち、お客様が望まれることを実現するために取り組んだ例です。当社は国内に工場を持つことで、迅速かつフレキシブルに対応することができました。


* 内閣府の最先端研究開発支援プログラム「超巨大データベース時代に向けた最高速データベースエンジンの開発と当該エンジンを核とする戦略的社会サービスの実証・評価」(中心研究者 : 喜連川 国立大学法人東京大学教授/国立情報学研究所所長)の成果を利用

日本IBM
システム製品事業 システムX事業部
小林泰子 理事 事業部長
Taiko KOBAYASHI


<「10年先を見据えたシステム」というコンセプトで
Flex Systemを打ち出しました。
このコンセプトそのものが大きな特徴になっています。>

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外部リンク

NEC=http://www.nec.co.jp/

デル=http://www.dell.co.jp/

日本IBM=http://www.ibm.com/jp/

日立製作所=http://www.hitachi.co.jp/

富士通=http://jp.fujitsu.com/