Special Issue

デル 企業向けSIに適した品揃えを大幅増へ パートナーとの協業を一段と強化

2013/07/25 19:55

週刊BCN 2013年07月22日vol.1490掲載

 デルは、販売パートナーとの協業を一段と強化する。同社のもつ強力なサプライチェーン網をパートナーが活用しやすくするとともに、製品やサービスの品揃えを大幅に増やしている。ここ3年ほどでおよそ20社のM&A(企業の合併と買収)を行っており、従来のサーバーやストレージなどのハードウェア製品だけでなく、情報セキュリティやソフト・サービス商材の品揃えを拡充してきた。デルのこうしたサプライチェーンを活用すれば、SIerは企業向けシステム構築(SI)を行ううえで必要な部材をより調達しやすくなる。

パートナー支援を具体的に打ち出す

デル 成田芳久
GCC統括本部長
 直販を主体としたコンピュータメーカーのデルだが、2007年から直販以外の販売チャネルを活用する「マルチチャネル」施策を打ってきた。SIerなど販売パートナーとの協業を推進する組織「グローバル・コマーシャル・チャネル(GCC)」をつくり、間接販売の比率を着実に高めている。

 この6月に都内で開かれた「Dell Partner Summit 2013」では、販売パートナー向けの五つの注力ポイントを発表。(1)案件登録システム(2)認定販売店プログラム(3)在庫モデル(4)自営保守(5)他社製品からの乗り換え支援といった内容だ。例えば、案件登録はデルが運営するパートナー向けのポータルサイト「パートナーポータル」から案件情報をパートナーが登録することで優先的に商談を進められる。デルの直販はITを極限まで活用し、ユーザーは複雑な手続きを経ることなく、シンプルに商材を手にすることができた。このシンプルさは販売パートナー向けにも適用されており、「パートナーポータル」を通じてさまざまなサービスや支援策を提供している。

 また、認定販売店については、地域の有力SIerや二次販売店網の拡充に力を入れる。ここ7年にわたるマルチチャネル施策によって国内主要都市でのチャネル開拓はおおむね順調に進んできたことを受けて、地域や中堅・中小のパートナーとの関係を強化していく。


強靱なサプライチェーンと品揃えに魅力

米デル リチャード・リー
グローバル・バイス・プレジデント
 在庫モデルは、商材の即納を求められる案件に対応するために、ある程度の流通在庫を確保しておく考え方だ。米デルのリチャード・リー・グローバル・バイス・プレジデント兼GCCアジア太平洋地域ジェネラルマネージャーは、「直販で培ったマーケティング力、市場分析力を駆使して、常にエンドユーザーへの販売を見越した適正在庫を割り出している」とし、いわゆる「出荷数」ではなく、エンドユーザーへの「販売数」を根拠に流通在庫の適正化に努める。これにより、デルの得意とする受注生産(BTO)モデルと、即納可能な在庫のバランスをとっていく。

 デルの最大の強みは直販で培った強靱なサプライチェーン網とマーケティング力、市場分析力にある。近年は主に企業向けの商材拡充に力を入れてきた。ここ3年ではおよそ20社ほどの企業へのM&Aを行っており、うち半数がソフト・サービスの領域で占める。図に示したように2011年にはストレージのファイバーチャネル(FC)やデータセンター(DC)関連、2012年にはデータ保護やネットワークセキュリティなどの領域での商材を拡充してきた。

 ユーザー企業は、ワンストップで統合的な解決を求めており、SIerもユーザー企業の課題の総合的な解決力が求められている。「デルの強靱なサプライチェーンと販売パートナー支援プログラムを活用すれば、こうしたユーザーの需要に応えやすくなる」(デルの成田芳久・GCC統括本部長)と、デルと組むメリットをパートナーに訴求していく考えだ。

「Dell Partner Summit 2013」の会場風景。昨年に比べて約2倍の数の販売パートナー関係者が集まった
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外部リンク

デル=http://www.dell.co.jp/

「パートナーポータル」