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<x86サーバーメーカー座談会2014>サーバービジネスでプラスアルファの価値提供へ クラウドサービスの普及を利用する

2014/11/20 19:56

週刊BCN 2014年11月17日vol.1555掲載


●クラウドは「敵」ではなく「お客様」 将来的にはサーバーの多くがクラウドに

──クラウドサービスの普及は、サーバー市場に大きな影響を与えると思いますが、それをどう捉えていますか。また、対応策として、自社あるいはパートナーと取り組んでいることがあれば教えてください。

橘(日本HP) クラウドの進化は止まらないと思います。それに抗うより、前向きに捉えるべきで、われわれメーカーはもちろん、パートナー様もスキルを向上して、オンプレミスとクラウドの連携や補完をお客様に提供できるようにしなければなりません。

 また当社は、EMS(電子機器受託生産)大手の台湾フォックスコン・テクノロジー・グループと組んで、クラウド事業者向けサーバーの開発を進めています。大規模な製造ラインをもつフォックスコンがサーバーの製造、HPが販売とマーケティングを担当する分業体制によって、さらに低価格ですぐれた製品を投入します。

浅賀(NEC) 当社自身、クラウドサービスを提供するデータセンター(DC)事業者でもありますが、DC事業者にとって、コスト削減は大きなテーマです。サーバー単体でできるコスト削減には限りがあり、サーバーの集約、電力の効率化、スペースの有効活用も大きなテーマになります。

 今年4月、新しいDCとしてNEC神奈川データセンターを立ち上げました。今まで培ってきたノウハウを生かした専用サーバーの開発、動力不要の画期的な冷却技術など、さまざまな先進技術を投入しています。オンプレミスシステムに加え、クラウド基盤サービス「NEC Cloud IaaS」や、お客様固有のシステムを設置できるハウジングサービスも提供するハイブリッドDCは、「オンプレミス・クラウド・ハウジング」の一体運用を実現し、システム全体での効率性や運用負荷軽減などのメリットを提供できます。NEC Cloud IaaSのパートナー様による再販も可能になりました。ぜひパートナー様にもこのDCをビジネスに活用していただきたいです。

魚田(デル) 当社は、クラウド事業者に対して、サーバー、ストレージ、ネットワークスイッチなどの製品を納入し、高い評価を得てきました。また、DCの運用をシンプル化し、自動化するコンバージドインフラストラクチャを提供しています。

 プライベートクラウドを活用しているお客様でも、特定の業務に関してはパブリッククラウドを活用したいというニーズはかなりあります。当社には、ハイブリッド環境を一元管理するツールもあり、さまざまなソリューションを提供できると考えています。

馬場(日立) DCを運用するクラウド事業者としての観点からお話しすると、サーバーだけでなく運用管理を含むトータルソリューションの提供を積極的に進めています。

 運用管理ソリューションの一つに、「Hitachi Unified Compute Platform(UCP)かんたん仮想化モデル」があります。これは、仮想化環境を短期間で導入でき、中小規模のプライベートクラウドやサーバー統合に適したモデルです。このモデルでは専用の運用管理ソフトウェアも用意され、直感的に操作可能な管理画面により仮想化初心者でも運用が容易です。このようにサーバー単体ではなく、さまざまな付加価値をつけたモデルを提供することで、トータルコストの低減を提案しています。

瀬尾(富士通) 当社自身、日本最大規模のクラウド事業者ですが、クラウド事業者向けのソリューションとして重点を置いているのは、サーバー、ストレージ、ネットワークに加えファシリティを含めた運用管理です。さまざまなインフラ機器の運用状態を統合管理する製品「FUJITSU Software ServerView Infrastructure Manager」の拡充を進めて、運用管理者のコスト低減と運用品質の向上を支援します。

 DCの設置場所のトップ5は、東京、神奈川、埼玉、大阪、群馬で、約7割を占めます。首都圏は地価が高いので、高集約・高スペース効率を実現する商品の提供は重要なテーマだと考えています。

東根作(レノボ) クラウドは「敵」ではなく、「お客様」でもあるというスタンスです。お客様にとって、クラウドロックインはリスクになります。何をクラウドにして、何を自社に残すかを考え、適材適所で使い分けるハイブリッドクラウドを選択することになるでしょう。当社はそれに対応したハイブリッドクラウドの実現を目指します。

 当社には「System x」のほか、DC向けの「Flex System」「NeXtScale System」があります。これに「ThinkServer」を加えて、サーバー製品のラインアップが充実しました。レノボの調達力にIBMの技術開発力を反映した製品が加わるのは、大きな武器になります。

──DC向けサーバーは市場全体の10%を占めているといわれますが、どこまで伸びると考えていますか。

浅賀(NEC) クラウドサービスは、今後も確実に伸びるとは思います。ただし、すべてをクラウド上で処理することは難しく、現場で処理したほうが効率的なものも少なくありません。システム全体の効率性を考えると、クラウドとエッジでの処理の組み合わせが効果的ではないかと考えています。

魚田(デル) 私は近いうちに25%くらいになると思います。一方で、IoT(Internet of Things)のように、IT機器以外のモノがインターネットに接続し、相互に通信して自動認識や自動制御、遠隔計測ができるようになるといわれています。これによって膨大なセンサデータが発生するわけですが、これらはローカルで処理したほうが効率がいい。

馬場(日立) ビッグデータを外部に出したくないと考えるユーザーは多く、そうした意識とコストとのせめぎあいによって決まると思います。当然、オンプレミスにも一定量は残ると思います。とくに金融など非常に重要で多様なお客様情報を扱う業種では、そのデータ利活用分野において、確実にオンプレミスが残ると考えます。

橘(日本HP) プライベートクラウドを含めると、将来はクラウドで稼働するものが半分を超えると思います。それも、そんなに遠くない時期に。しかし、データ資産をどう扱うかはお客様の考え方一つですから、オンプレミスも必ず残ると思います。

瀬尾(富士通) 前述したように、事業者によるDCの設置場所は特定エリアに集中していますし、それがそろそろ成熟してきている時期だろうと思います。私も日本HPの橘さんと同様に、プライベートクラウドを含めると、将来はほとんどがクラウド化すると思います。実際に、この1年でも急速にクラウドへの移行が進んでいると強く感じています。

東根作(レノボ) お客様は、基本的に販社の方々からの提案を受け、その提案のなかからシステムを選択するわけですから、販社がどれだけクラウドにシフトするかに大きく左右されますね。とはいえ、実際に国内でDCを運用され、企業に対してサービスをしている方々のニーズは必然的に高まっていくものと思います。

デル
魚田直良
マーケティング統括本部
ESSマーケティング本部
サーバブランドマネージャー

パートナービジネスの再編を進めるなかで、パートナー様が取り扱いやすい製品の提供に努めます。


Dell PowerEdge R630

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http://www.dell.co.jp/

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外部リンク

NEC=http://www.nec.co.jp/

デル=http://www.dell.co.jp/

日本ヒューレット・パッカード=http://www8.hp.com/jp/ja/home.html

日立製作所=http://www.hitachi.co.jp/

富士通=http://jp.fujitsu.com/