POCO(The Power of Cloud by Oracle)の推進、普及とパートナーによるOracle Cloudビジネスの拡大を目的とした日本オラクル主催のPOCOコンテスト。第3回コンテストで最優秀賞を受賞したのがユー・エス・イー(USE)の社会保険労務に関する電子申請ソリューション「Charlotte(シャーロット)」だ。サービスの特徴と今後の展開、そしてサービス基盤としてオラクルクラウドの魅力について聞いた。

企業の労務担当者から寄せられた切実な「お困りごと」が開発の原点

吉弘京子
副社長

 Charlotteは、企業の労務担当者から寄せられた切実な「お困りごと」の声を反映させたクラウドサービス。「既存の人事給与システムや人事給与データをもとにして、社会保険・労務に伴う申請業務を支援し、手間をかけることなく役所への申請業務を自動化することを目指した」と、吉弘京子副社長は強調する。

 企業は、所轄の省庁に従業員の社会保険や労働保険など労務関係書類の申請・届出する義務を負っている。手続きは従業員ごとに必要なため、労務担当者はその度に所轄の省庁窓口に出向いて申請・届出しているが、それが大きな負担になっている。

 こうした申請・届出業務の効率化を目指して、政府は「e-Gov電子申請システム」を導入し、手続をインターネット経由で行えるようにした。だが、総務省が2016年12月22日に発表した「平成27年度における行政手続オンライン化等の状況」では、社会保険・労働保険分野の利用率は8.9%にとどまっている。
 

北野文章
事業部長

 「電子申請システムでも、情報は1件ごとに手入力しなければならない。また、情報の送信後もシステムから返される到達番号や送信番号を控えておかないと、処理状況の確認や公文書の取得ができなくなる。つまり、窓口での申請・届出に比べて、新たに番号管理という手間が増えており、現実的には業務効率化にはつながっていないと電子申請の普及が遅れている原因といわれている」と、北野文章・サービスイノベーション事業部事業部長は指摘する。

 「きっかけは、あるOracle PeopleSoftユーザーのお客様からの声。そのお客様は1万件もの人事情報をもち、多い時は週100人分もの申請を紙書類に記入し、毎日のように提出先に担当者が提出に行っていた。その作業負担をなんとか軽減できないだろうか、と相談を受けたことだった。こうした悩みは、ほかのお客様にとっても共通の課題であることから、より多くの企業で手軽に利用できるよう、クラウド型サービスでの提供を考えた」と、北野事業部長は説明する。
 
 開発は2016年2月にスタート。途中から、申請・届出業務に深い知見をもつ社会保険労務士事務所オフィスアールワンのアドバイスとさまざまなお客様からのお困りごとをヒントとして、サービス内容の充実を進め、16年11月にサービスを開始した。

社会保険労務に関する電子申請を自動化、業務負荷を大幅軽減

 Charlotteは、オラクルのクラウドサービスを基盤とする。「Oracle Java Cloud Service」による業務的な処理と、「Oracle Integration Cloud Service」によるデータ変換などの機能を提供する。CSV連携など、さまざま主要な人事給与システムに対応しており、そのデータをそのまま利用して申請・届出に必要なデータをCharlotteに直接アップロードできることが大きな特徴だ。

 従来のような手作業による入力は一切不要となるため、作業負荷を大幅に軽減することができる。また、到達番号や問い合わせ番号も、Charlotteが自動的に管理して、人事給与システムのデータと紐づけられるため、余計な管理作業が発生することもない。

「Charlotte」による処理のプロセス

 北野事業部長は、「申請情報にはマイナンバーをはじめ個人情報が多く含まれるため、セキュリティの確保が重要。オラクルなら、世界的に信頼性の高いセキュアな基盤環境だけでなく、Oracle Database Cloud Service上で暗号化することでセキュアに情報を保護できる。また、オンプレミスとクラウドが共通の技術で扱えるため、環境の構築を迅速に行える点も開発における大きなメリットだ。加えて、ハンズオントレーニングなどのサポートも充実している。もう一つがコスト面。初期コストだけなら、ほかに安価なクラウドサービスもあるが、利用者が増えるごとにライセンス購入を行う事を求められたり、トランザクション量の増加に応じたコストが変化するなど、サービス提供型として適切に当てはまるケースが少ない。将来のサービス利用の拡張も含めて、オラクルは最適なコストでサービス提供ができる」と、オラクルのクラウドサービスを基盤とするメリットを指摘する。
 

できるだけ早期に1000社の獲得が目標

 Charlotteのサービス開始から反響は大きく、すでに大手企業を中心に複数の案件が発生している。

 「今後は、スモールスタートが可能なクラウドのメリットを生かして、中堅・中小企業も含めて、申請・届出業務を負担に感じているあらゆる企業に向けてCharlotteを提供していきたい」と、吉弘副社長は語る。

 社会保険労務士事務所に向けたアプローチも進めて、申請・届出業務の代行サービスをCharlotteのアウトソーシングメニューとすることも検討しているという。「厚生労働省は、2021年までに電子申請の普及率を70%までに高めるという目標を掲げている。1割に満たない現状からすると、Charlotteの潜在市場は非常に大きいと考えている。まずは、できるだけ早期に1000社の獲得を目標に据える」と、北野事業部長は今後の事業計画を明らかにした。