世界初
(1)のノートPCである「dynabook」は誕生から36年を数え、日本を代表するPCブランドとして広く浸透している。2024年度にはノートPCのブランド別で国内シェア1位
(2)を獲得し、市場からの高い評価を裏付けた。そのブランド力の根源には、製品開発を支える技術力はもちろん、全国約50カ所の拠点で構成される営業・サポート網、さらには各拠点と深くつながるパートナーの存在がある。各拠点の実態を通じて、コンピューティングとサービスで地域の顧客を支え続けるDynabookの本質に迫る。
第6回は首都圏支社をクローズアップする。東京23区に本社を構える、従業員5000人以上のエンタープライズ企業を中心にビジネスを展開している。渡辺聖志・支社長は、開発から製造、販売、サポートをワンストップで実行できるDynabookの強みを活かすとともに、お客様の声を真摯に受けとめ、素早く対応することで、多様なニーズに応えたいと意気込む。
(1):1989年、世界初のノートPC「DynaBook J-3100 SS001」を発売
(2):「IDC Quarterly Personal Computing Model Analysis」(※)は、IDC独自の調査手法に基づき、各情報ソースのガイダンスを用いて、PC製品市場規模、ベンダーシェアの実績や市場予測を定期的に提供するデータベース製品です
住所:〒135-8505 東京都江東区豊洲5-6-15 (NBF豊洲ガーデンフロント 7階) 電話番号:03-5144-3355(首都圏支社代表)
「Dynabookファン」を増やす
首都圏支社は、アカウント第一、第二、第三の各営業部に加え、首都圏ソリューション技術部、首都圏フィールドサポート部で構成する。最大の特徴は、「長年PCを購入いただいているエンタープライズ企業」に特化している点だ。渡辺支社長は「選定されるPCが従業員のエンゲージメントに影響することから、選定基準にエンドユーザーの要望が強く反映されるように変わりつつある」と市場を分析する。
渡辺聖志 支社長
支社の強みについて、渡辺支社長は「対応の速さ」を第一に挙げる。開発、製造、販売、サポートを自社で一貫して手掛けているため、トラブルが起きた場合でも連携して素早く対処し、信頼の確保につなげている。
顧客からのさまざまな要望は開発面でも活きる。例えば、「USBポートをPCの両側面に一つずつ配置してほしい」といった、利便性向上に直結する意見を、迅速に開発現場へ届け、製品開発に反映できる点は大きなメリットとなる。
「Windows 10」のサポート終了を受けたリプレースの需要が一段落し、「Copilot+ PC」など付加価値の高い製品に加え、LCM運用サービスをはじめとしたソリューションやユーザーのニーズに応じた柔軟なカスタマイズなどを提案の柱とし、売り上げの拡大を図る考えだ。
加えて重要視するのは「エンドユーザーにおけるDynabookファンをいかに増やすか」だという。PCを通じたユーザー体験はもちろんのこと、修理やLCMなどのサービスにおいても、優れた体験を感じてもらうことで「dynabookを使っていて良かった」との声を広げ、エンドユーザーを起点にdynabookの魅力を市場に浸透させたい考えだ。
アカウント第一営業部 地道な信頼関係の構築が重要
アカウント第一営業部は、運輸や建設、不動産、食品、商社、IT、メディアなど、幅広い業種を担当している。水谷部長は「他の2営業部が担当していない業種を中心に、サービス業も含めて幅広くカバーしている」と語る。業種は多岐に渡るものの「PCを単なる計算処理デバイスではなく、コミュニケーションツールとして位置付けるお客様が多い」という共通点があるとする。
アカウント第一営業部
水谷和則 部長
提案の工夫については、「現在のPC運用における課題や困りごとがそれぞれあり、それをいかに解決できるかだ」とする。
課題解決が長期的な関係構築のきっかけとなり、大きな商談につながることもある。数万台規模で取引のある企業のケースでは、初回の購入台数は少なかったものの、導入時の支援や保守サービスなど、接点ごとの丁寧な対応が評価を受け、大規模導入に結びついた。水谷部長は「信頼構築に10年ほどの時間をかけ、ノートPCをすべてdynabookにしていただいたお客様もいらっしゃる」と語る。
アカウント第二営業部 若手の育成に尽力する
アカウント第二営業部は渡辺支社長が部長を兼務し、製造業と建設業を中心に担当している。渡辺支社長は「製造業では全国に工場を持つ企業が多く、それぞれの工場に固有のニーズがあり、本社だけでなく、現場の意向も意識して提案を進めている」と説明する。製造、建設ともに、最近ではデスクワーカーを中心にモバイルPCへのシフトのニーズが強まっているという。
AIなど新技術の導入については、「製造業は検討はしているが他業種に比べると慎重」と分析する。ただ、「業務の最適化や効率化に長年取り組んでおり、活用への意欲は高い」とみる。
今後の取り組みとして、「PC単体だけでなく、運用面も含めた総合的な提案を進めていきたい」とする。そのために営業は「お客様との会話の中から課題を見つけ、関連部門と連携して提案できる力を強化していく必要がある」と語る。
第二営業部を含め、首都圏支社の営業部門は20代~30代前半までの若手が多い。渡辺支社長は「当初は経験が浅くても短期間で成長する若手もいる。今後も個人の力を高め、組織全体を強化したい」と意気込む。
アカウント第三営業部 差別化製品の提案に注力
アカウント第三営業部は通信キャリア、金融、電力を中心とした業種を担当している。鈴木部長は業種ごとのニーズの違いに関して「金融は比較的スペックの高いPCを取り入れる傾向があり、AI PCの検討も動きが早い」という。また、業種を問わず、情報システム部門の人員が不足しており、「PC運用をアウトソーシングする企業が増えている」という。
アカウント第三営業部
鈴木 隆 部長
今後の展開として、「競合と差別化できる製品の販売拡大」を掲げる。ユーザー自身でバッテリー交換ができる「dynabook X83」はその一つであり、「バッテリーが交換でき、かつ1キロ以下という軽量モデルは強みだ」とする。
また、eSIM対応モデルに4年間無制限のデータ通信利用権を組み込んで提供する「dynabook eSIM Startin’」の販売にも注力している。「コストや管理工数の面でメリットがあり、すでにeSIM対応モデルを採用いただいているお客様に対して、リプレースのタイミングでStartin’を薦めていきたい」とし、eSIM Startin'の拡販を行う考えだ。
首都圏フィールドサポート部 サポートから次の受注へ
首都圏フィールドサポート部は、首都圏支社の顧客に加え、山梨、千葉、茨城の3県も対応し、保守サポートを展開している。佐藤部長は「お客様の困りごとをヒアリングしながら、付加価値のあるサービスを提案する活動も進めている」と話す。
首都圏フィールドサポート部
佐藤 誠 部長
顧客のリプレースサイクルである3~5年の中で「定期的にお客様先を訪問できる立場を生かし、情報収集や営業へのフィードバックを行っている。サポートを通じて、リプレース時にも当社製品を選んでいただくようにすることが、私たちの使命」と強調する。
自身も修理対応を通じて徐々に信頼を獲得し、最終的には「サポートが良かったので、またDynabookの製品にする」と言ってもらえた経験がある。「サポートが評価されたことにより、次も、当社を選んでもらえたことは非常に嬉しかった」と振り返る。
AIが発展しても、顧客を訪問し修理する業務はAIには置き換えられない重要な仕事だ。佐藤部長は「若いメンバーにもそういった意識をもって仕事に臨んでもらえるようにしたい」と語る。
首都圏ソリューション技術部 生成AI導入支援サービスの訴求を強化
首都圏ソリューション技術部には基幹系システムなど要件定義から開発まで手掛けるスクラッチ開発のチームと、PCのキッティングやマスター作成、LCM運用などに取り組むチームがある。
最近は「Windows Autopilot」を使った運用の自動化も広がりつつあるという。スクラッチ開発では、「顧客の個別ニーズに沿ったシステムを構築。「対応している会社数は多くないものの、しっかりお客様に入り込んでいる」とする。
首都圏ソリューション技術部
吉岡祐二 部長
今、注力しているのは「生成AI導入支援サービス」の普及だ。オンプレミスのサーバーを活用して、ノーコードで生成AIアプリケーションを開発できるサービスで、顧客に対してはテンプレートやトライアルパックの提供などを通じて、採用を働き掛けている。吉岡部長は「技術部のメンバー自身も新しい技術への理解を深めている。営業と連携し、訴求の方法を考えたい」と力を込める。