ダイワボウ情報システム(DIS)は、全国の販売パートナーを通じたIT製品・サービスの提供によって、地域の課題解決に取り組んでいる。各地の会場で対面形式で開催される各種イベントは、IT導入のメリットや効果を、顔の見える形で地域に伝える重要な場となっている。本連載では、DISが開くリアルイベントの熱気や関係者の生の声を、紙面を通じてお伝えしていく。第4回は、2月6日に熊本県益城町のグランメッセ熊本で開催された「DIS ICT EXPO 2026 in 熊本」の模様をお届けする。
熊本市の熊本城と、市電が走る市街。
県下では産学官連携で「くまもとDXグランドデザイン」に基づく取り組みが進む
エンドユーザーと顔の見える対話で理解促進
今回の「ICT EXPO」には、県内をはじめ、福岡、大分、宮崎、鹿児島の隣接県を中心に九州全域から大勢の参加者が集まり、最新ソリューションと幅広い選択肢への期待値の高さをうかがわせた。
多くの来場者でにぎわう会場
エンドユーザーの来場の多さも特徴の一つだ。出展メーカーは製品がもたらす具体的なメリットを打ち出し、訴求力を高めた。AIやセキュリティーへの関心はユーザー企業にまで広がっている。各社はデモンストレーションや導入事例を通じ、AI活用の現実的な効果や最新のセキュリティー対策の必要性を分かりやすく提示。来場者の疑問に直接答え、理解促進を図った。
熊本は国内でも屈指の半導体産業集積地として存在感を高めている。CADソフトウェアなど製造業向けのソリューションも展示された。出展企業からは、地域や業種を超えてアプローチできる好機として位置付ける声が上がった。
DISの教育ICTソリューションのブース
全国のパートナーにとって、民需に加えて官公需の市場も大きい。DISは探究的な学びを推進するSTEAM教育支援を拡張して展示。教育ICTソリューションも注目された。
モダナイゼーションは災害対策に 中小企業の企業存続のための選択を後押し
老朽化したITシステムから脱却してモダナイゼーションするーー。企業競争力を高めるために全国で共通する動きだが、熊本ではより重要性を増している。それは、災害への備えだ。2016年の熊本地震では震度7を2度記録し、19年には最大震度6弱の揺れが襲った。線状降水帯などの影響で豪雨にも頻繁に見舞われている。被災地の企業では災害によって、機器の障害といった存続に直結する事態が起きているという。
来場者受付の様子
レガシー環境では対応や復旧が遅れるリスクが高まる。災害頻発地において、システムのクラウド化はBCP(事業継続)対策の意味合いも大きい。DISでも「オンプレミスからの脱却」が災害対策につながると訴え、導入支援に取り組む。地域に密着しているからこそ被災の様子を目の当たりにしてきた。単なるモダナイゼーションではなく、企業が存続するための選択として導入を後押ししている。
クラウド化をはじめ、DXに対応できる人材育成も不可欠だ。DISではメーカーから新製品が出ると勉強会やセミナーを個別に開催。販売店での利用も勧め、製品理解を促している。パートナーが顧客に製品を提案する際にはDISの担当者が同行したり、メーカーをアテンドしたりしている。パートナー企業にはビジネス変革できる人材づくりとして「DX教育サービス」を新卒や中途採用の社員教育で活用してほしいと呼び掛けている。こうした多面的なサポートも、全国で知見を蓄積しているDISの強みだ。
25年には大手企業のサイバー攻撃被害が相次いで報じられ、熊本県内でもメールサーバーへの不正アクセス事案があった。製造業が盛んな地域でもあり、グループ企業や受託企業といったサプライチェーンを狙った攻撃は現実的な脅威だ。DISではサイバー脅威への理解を粘り強く啓発し、地域全体にセキュリティー対策の浸透を目指している。
生成AI活用をより具体的に 広がりを見せる法人利用の選択肢
九州の地場企業からも生成AIの注目度は高い。DISとしても期待に応えるべく、「ICT EXPO」の場を通じて具体的なユースケースを分かりやすく伝えることに努めた。一環として、DIS販売推進本部クラウド・アプリケーション販売推進部の坂本旬・サブスクリプション推進グループ課長代理が特別講演「ここまで来たか生成AI! 4つの領域と徹底比較」で最新情報を届けた。パートナーだけでなくエンドユーザーも聴講し、加速するAI活用の潮流に関心を寄せた。
生成AIの最新情報を届けた特別講演
坂本課長代理はテキスト生成から連なるAIの進化を解説した。画像や音声、動画の生成、AIモデルとの対話のプロセスをその場で再現。さらに単なるチャット相手から自律的に動くエージェントに変化し、「仕事を任せられるAIに進化している」と強調した。AI活用はハードウェア(フィジカルAI)に拡大し、「産業AI革命」が到来すると示した。
AIの法人利用の選択肢として(1)対話型などの汎用AI(2)既存アプリに付属するビジネスアプリ+AI(3)業務特化AI(4)エージェントの4つを提示。それぞれに解決できる分野があり、「課題に応じて最適なものを選ぶことが大事だ」と語った。AI導入の成功の秘訣として、目の前の業務改善に取り組みつつ、中長期的な目線が必要だとし、「仕事での生成AIの使用を当たり前にすることが重要だ」と説いた。
週刊BCN記者が聞く来場者の声 複数の商材見比べ 定期開催望む声も
多くのビジネスパーソンが訪れた「ICT EXPO」。大規模イベントや主催者のDIS、ソリューションへの期待について、来場者に聞いた。
県内の販売パートナー企業の40代男性は普段、DISのサブスクリプション管理ポータル「iKAZUCHI(雷)」で商材を見つけている。レコメンドなどポータル内の情報で事足りることが多いが、分からないことはDISの担当者に電話やメールで問い合わせている。「メーカーの代表窓口しか分からないところを個別につないでもらい、橋渡しをしてもらっている」と感謝し、「これからも「iKAZUCHI(雷)」をブラッシュアップしてほしい」と切望した。
この男性は教育関係の商材を検討するために来場したという。「独自性があると自治体に提案しやすい」と複数の製品を見比べていた。
半導体産業が集積する熊本。この日は関連産業のユーザーも来場した。半導体装置の製造会社で業務改善を担当する男性は、マニュアル作成に役立つソリューションを探した。「製造業の人はマニュアルづくりが苦手な傾向にある。もう少しで定年になるような熟練の従業員のスキルを落とし込みたい」と、手間がかからないAI機能に期待を寄せた。
長崎のパートナー企業の50代男性は、セキュリティー製品の情報収集が必要と考えて参加した。小規模企業ではサイバー脅威への危機感が高まっていないと感じている。新たな脅威が生まれる中で、「自身が勉強しないといけない」と知識のアップデートに活用した。この男性は24年に開催された「DISわぁるど in 長崎」にも同僚と参加しており「引き続き、定期的に九州地方でセミナーなどを開催してほしい」と望んだ。
情報や提案方法を得る気づきの場に
「気づきの機会にしてほしい」。松原功治・スペシャリストは「ICT EXPO」の狙いをこう表す。参加者がDXを自分事として捉えられるよう、幅広いソリューションの情報発信に工夫を凝らした。
販売推進本部戦略ビジネス推進部
アドバンスドテクノロジー推進グループ
松原功治スペシャリスト
企業課題は複雑化している。システムもソフトウェアを中心に複数の製品を組み合わせ、「ユーザーが次のステップに踏み出せるような提案が必要になっている」との認識を示す。その上で「『ICT EXPO』がパートナーの皆さんにとって技術や情報、提案方法を得ることができる場になれば」と展望した。
アフターEOS・GIGAの提案を発掘
年が変わり全国で最初の「ICT EXPO」となった今回。25年はEOSに伴うWindows 10のリプレースやGIGAスクール構想第2期と、大きな需要に支えられた側面もある中、佐川悠基・熊本支店長は「26年度が大きな勝負になる」と見通し、提案テーマの発掘をパートナーと進めると意気込んだ。
西日本営業本部九州営業部
熊本支店
佐川悠基支店長
AIと並び、セキュリティーに関する特別講演が人気を集めた。セキュリティー対策の需要を今後のビジネスにつなげたい考えだ。地域密着で取り組むことで「地域の隅々まで情報を届ける使命がある」と決意を語った。