ダイワボウ情報システム(DIS)は、全国の販売パートナーを通じたIT製品・サービスの提供によって、地域の課題解決に取り組んでいる。各地の会場で開催される対面形式の各種イベントは、IT導入のメリットや効果を、顔の見える形で地域に伝える重要な場となっている。本連載では、DISが開くリアルイベントの熱気や関係者の生の声を、紙面を通じてお伝えしていく。第7回は、7月28日に宇都宮市の栃木県立宇都宮産業展示館(マロニエプラザ)で開催された「DIS ICT EXPO 2026 in 宇都宮」の模様をお届けする。
会場となった栃木県立宇都宮産業展示館
(マロニエプラザ)
80社超が出展、多様な最新ICT製品に高い関心
今回の「ICT EXPO」には、ITベンダーやSIerなど80社以上が出展した。当日は県内をはじめ北関東各地から来場者が集まり、展示ブースや講演会、体験会を熱心に巡る姿が見られた。
特別講演の様子
展示会場は、AIソリューション、セキュリティー、ITインフラ&ネットワーク、アプリケーション、エンドポイント(PC)、周辺機器の六つのエリアで構成され、各社が最新のソリューションを紹介した。今回初出展の企業もあり、DISがパートナーエコシステムを拡大し、幅広いニーズに応える体制を強化していることがうかがえた。
毎回人気を集める「Copilot+ PC」の体験会は今回も盛況だった。展示会場内のタッチ&トライコーナーには常に順番待ちの列ができており、その注目度の高さを示していた。
「Copilot+ PC」のタッチ&トライコーナー
「ICT EXPO」のテーマの一つである生成AIについては、特別講演でも取り上げられた。AICX協会の小澤健祐・代表理事が登壇し、「企業の生成AI利活用・はじめ方~導入で終わらせない、現場に根づく実践アプローチ~」と題して、生成AIを定着させるための実践事例や活用のポイントを紹介した。
セキュリティー対策と業務効率化を推進
地域企業のデジタル化を応援
製造業や建設業が盛んな宇都宮市周辺では、業務のデジタル化の遅れが共通の課題として挙がっている。現場事務では手書きや「Excel」による管理が依然として根強い。また、中小企業を標的としたランサムウェア攻撃などのサイバー脅威への対策や、入札条件となる可能性がある「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策(SCS)評価制度」への対応も急務となっている。各ブースでは、こうした課題に対する解決策を提案していた。
来場者でにぎわう各社のブース
SCS評価制度への対応では、コンサルティングを軸とした伴走支援サービスを紹介した。セキュリティー製品の導入だけでなく、ルール策定から有資格者によるチェック、申請支援までを一貫して提供し、IT人材が不足する中小企業でも短期間で必要なセキュリティー水準を満たせることを訴求した。
ランサムウェア対策では、攻撃の起点となりやすいIDやパスワードの管理強化に注目が集まった。パスワードの使い回しや簡易な文字列が残る実態に対し、管理ツールの活用や特権IDの操作内容を録画・分析できる仕組みの導入を提案した。さらに、公開情報を基に攻撃者視点で自社の脆弱性を可視化するASM(アタックサーフェスマネジメント)製品も来場者の関心を集めていた。
建設業向けには、「脱・手書き」を実現する販売・原価管理一体型システムがアピールされた。電子請求プラットフォームと連携し、大量の紙帳票をデータ化して自動集計を行うほか、Excelによる管理では把握が難しかった工事ごとの利益率をリアルタイムで可視化し、赤字案件の防止と経営の透明化に資するとした。
パートナーの困りごとにも対応
人手不足対策のソリューションを提案
栃木県をはじめとする地方の中小企業では高齢化が進み、長年、現場のITを支えてきた技術者の退職に伴って、PCやサーバー導入時のキッティングを担う人材が不足している。地域のパートナーでは、営業担当者が技術作業を兼務するケースもあり、営業活動に十分な時間を割けない状況も生じているという。
DIS サービス&サポートのブース
人材不足への対策として、DISのサービス&サポート部門は多面的な支援を展開している。中核となるのが、メーカーの垣根を越えたマルチベンダー対応だ。埼玉県東松山の拠点では、PCだけでなく、メーカーごとに異なる設定手順が必要なサーバーのOS導入なども一括で請け負っている。
さらに、故障対応の負担を軽減する「延長保証サービス」も提供する。複数メーカーの機器をまとめて保証対象とし、修理窓口を一本化することで、販売店が急な障害対応に追われる場合でも効率的なサポートを実現する。導入から保守までをDISが担うことで、販売店は顧客との関係強化という本来の役割に専念できる仕組みとなっている。
週刊BCN記者が聞く来場者の声 実機体験と直接対話に価値
会場には幅広い業種・年代の来場者が訪れ、各ブースでは自社の課題解決策や新たなビジネス機会を模索する活発な対話が繰り広げられた。対面での情報交換は、Webサイトやパンフレットだけでは得られない詳細な情報を直接確認できる貴重な機会として評価されていた。
熱心にブースを回る来場者
日光市の製造業に勤務する30代男性は、「地方では最新機器に触れる機会が少ない」と話し、メーカー担当者によるデモンストレーションを通じて活用イメージが具体化したと語った。鹿沼市の採石業で経理を担当する50代女性も、人手不足への対応策として本社機能の効率化を模索しており、AIの実際の活用例を確認することで具体的な改善のヒントを得たという。
宇都宮市の商社で営業を担当する30代男性は、クラウドやセキュリティーソリューションを目的に来場し、「複数のセキュリティー製品について短時間で詳しく知ることができた」と展示会の利点を語った。
パートナーも、新たな提案材料を求めて会場を回っていた。さいたま市から来場した情報サービス企業の担当者は、「Microsoft 365」に関する知見を深めることができたと話した。また、宇都宮市内のIT機器販売店に勤務する50代男性はAI分析機能を備えたカメラに着目し、「ハードウェア販売にAIという付加価値を加えることで提案の幅を広げたい」と意欲を見せた。同市でOA機器販売やシステム開発を手掛ける50代男性は、「有料AIサービスがどの業務に適しているのかを見極めたい」とし、「画一的な提案書ではなく、顧客ごとに最適化された提案書をAIで作成したい」と、自社業務の効率化と顧客向け商材の両面から期待を寄せていた。
SI領域への進出で付加価値向上を
開催の狙いについて重本和希支店長は、「AIやセキュリティーなど最新ICTの情報を届け、導入のメリットや必要な対策をリアルの場で体感して持ち帰っていただきたかった」と語る。そのため、具体的なデモンストレーションを通じて導入後のイメージを描ける場づくりを目指したという。
東日本営業本部関東北信越営業部
宇都宮支店
重本和希 支店長
特に注力したのは、ネットワークやセキュリティーを含めた最適なインフラ構築の重要性を伝えることだ。「パートナーがSIを担えるよう支援することで、最終的にユーザー企業が選択できる課題解決の選択肢を増やせればいい」と語った。
今ある課題を自分ごとにする場へ
福田敦也主任が目指したのは、「AI活用による効果やサイバー脅威への備えを自分ごととして捉えるきっかけをつくること」だ。展示やセミナーを通じて、「いつか取り組まなければならない」という漠然とした認識を、「今、取り組むべき課題」へと変えることに力を注いだ。
東日本営業本部関東北信越営業部
宇都宮支店
福田敦也 主任
会場には80を超えるブースが出展しており、全てを詳しく見て回ることは難しい。そのため、「来場者の業種や業務内容に応じて最適なソリューションを紹介できるよう、アテンドスタッフと連携しながら細やかなフォローを行うことに心を砕いた」と話した。