ダイワボウ情報システム(DIS)は、全国の販売パートナーを通じたIT製品・サービスの提供によって、地域の課題解決に取り組んでいる。各地の会場で対面形式で開催される各種イベントは、IT導入のメリットや効果を、顔の見える形で地域に伝える重要な場となっている。本連載では、DISが開くリアルイベントの熱気や関係者の生の声を、紙面を通じてお伝えしていく。第5回は、6月4日、広島市の広島県立広島産業会館西展示館で開催された「DIS ICT EXPO 2026 in 広島」の模様をお届けする。
会場となった広島県立広島産業会館西展示館
広域でビジネスを創出
今回の「ICT EXPO」は県内をはじめ、山陰地方からの来場や、徳島県に本社を置くSIerの出展など、広域でビジネスを創出する機会となった。
展示会場にはAIソリューション、アプリケーション、セキュリティー、ITインフラ&ネットワーク、ペリフェラル(周辺機器)、エンドポイント(PC)の領域ごとに80社以上が参加し、最新のソリューションを披露した。メモリーやSSDなどの価格高騰を受けた供給不安が市場を覆う中、インフラベンダーは構成を最適化した即納モデルなどを提示。メーカーとDISがタッグを組むことで、強固な流通網を示した。
多くの人でにぎわう展示会場
DISも複数のブースを展開した。サブスクリプション管理ポータル「iKAZUCHI(雷)」に関しては、取り扱うSaaSの数が増え、利便性が一層増している点をアピール。ブースに足を止める来場者も多く、販売店に広く浸透していることをうかがわせた。
「ICT EXPO」の目玉である特別講演の一つは、広島がものづくりのまちであることから「製造業DX」がテーマになった。西日本営業本部中四国営業部の池亀学・広島第1支店長は、製造現場のDX推進が企業の重要課題になっているとして、変革のヒントを届ける狙いがあると強調した。
池亀 学 広島第1支店長
顧客の抱える課題を解決 AIとセキュリティーをパートナーと提案
会場となった広島市は、中国・四国地方で唯一、人口100万人を超える中枢都市だ。しかし県全体で見ると、転出者数が転入者数を上回る「転出超過」が都道府県別で5年連続最多となるなど、人口減少が進んでいる。
服部 将士 広島第2支店長
こうした課題を受けて「いかにAIを使って省力化をするかということが身近になっている」というのが、服部将士・広島第2支店長の見立てだ。実際のビジネスも動いている。AIモデルを自治体向けに展開するメーカーのセミナーを開催したところ、「連携して顧客提案に乗り出す販売店が出てきた」と、広島第1支店の八代醍捷・係長は明かす。
八代醍 捷 係長
服部支店長はパートナーのAIに対する関心の高さを感じており、「『ICT EXPO』のようなイベントで、案件の種をつくっていくことが大事」と力を込める。セキュリティーが担保されているかや、費用対効果をユーザーの経営層にどう示すかという相談にも応じ、提案の精度を高めている。
セキュリティーも関心事の一つだ。特に「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度(SCS評価制度)」の「★3」「★4」の取得が取引条件として想定されているため、問い合わせが増えている。「ICT EXPO」でもSCS評価制度を意識したコミュニケーションが目立った。
ただ、セキュリティー製品の導入にはコストを課題に感じるユーザーが少なくない。DISでは制度対応の必要性を伝え、販売店の提案をサポートしている。池亀支店長は「地域全体のセキュリティー意識を高めたい」と語った。
「Copilot+ PC」体験会 を開催、パートナーと提案へ
「ICT EXPO」で毎回人気を集めるコンテンツがCopilot+ PCの体験会だ。PCが1人1台ずつ用意され、参加者がその場で生成AI機能を操作しながら理解を深められる。
Copilot+ PC体験会の様子
Copilot+ PCの特徴は、Web接続に依存しないローカルAIだ。担当者は、CPUに内蔵されたNPUによってクラウドに頼らず、端末内でAIを快適に動作させられる点を解説。データを外部に送信せずに処理できることから、セキュリティー面にも優位性があるとした。
1時間のセッションでは、リアルタイムに字幕を作成する「Live Captions」や、描画と文字入力をもとに画像を生成する「Cocreator」、PCの操作履歴をもとに検索できる「Recall」、次の作業を提案する「Click to Do」など数多くの機能体験が行われた。参加者は日常業務の効率化につながる点を実感していた。
体験会は予約制で、早々に満員となる回もあった。DISは展示会場にも「Copilot+ PC タッチ&トライ」のブースを設け、多くの参加者がデバイスに触れる機会を提供した。
展示会場の「Copilot+ PC タッチ&トライ」のブース
担当者は、Windows 10のサポート終了(EOS)を背景にリプレースの機会は一巡したものの、端末を入れ替えずにOSのみをアップグレードしたケースも多いと指摘。生成AIに適したデバイスへの移行提案をパートナーと進める姿勢を示した。
週刊BCN記者が聞く来場者の声 拠点の近さ生かした展開を
参加者は目的意識を持った来場が多く、会場で得た情報を次の一手に生かそうとしていた。
鳥取県のSIerの50代男性はセキュリティーの商材を中心に情報収集した。顧客である行政機関ではクラウドシステムへの移行が想定されることから、認証製品やSASE(Secure Access Service Edge)の取り扱いを検討している。ブースを見て回り「コストやサービスについて話を聞くことができた」と手応えを感じていた。
DISには海外ベンダーのディストリビューションを期待している。「拠点の近さも生かして、先進的なソリューションの価値を広めてほしい」と望んだ。
広島市の販売代理店に勤める50代男性は医療現場のDXを担当している。「病院向けの展示会とは異なり、さまざまなブースが新鮮に感じた」と、最新のテクノロジーに触れた様子だった。AI関連の商材について、業務自動化につながるツールとしてさらに情報を集めるつもりだ。
クラウドバックアップを目当てに来場した広島市の製造業男性は、ブースで話を聞いた上で商談の約束をした。社内SEとして「対策ができていない」と危機感を持っているという。ITの展示会への参加は珍しく、「ICT EXPO」は機器を購入している販売店から情報を得て来場した。「ディストリビューターならではの幅広さを感じた」と振り返った。
市内飲食店の男性は、店頭に置くデジタルサイネージを検討するため来場したが、思わぬ発見もあった。会場を一巡し、セキュリティーのブースが目にとまった。男性の店舗でも2025年に起きた大手飲料メーカーへのサイバー攻撃で営業に影響が出ており、「各社が注力しているのがよく分かった」とし、身近な問題として受け止める機会になったと明かした。
きっかけをつかむチャンス
DISの広島の拠点は25年12月に移転、さらに26年4月には支店網を広島第1~3に再編した。高基雅義・広島第3支店長は「新しい目で、きっかけをつかむチャンス」として、ニーズの掘り起こしなどパートナーとの関係を深める決意を示す。
高基 雅義 広島第3支店長
市場環境が大きく変わる中で、提案機会をどう創出するか、ディストリビューターを頼る販売店は少なくない。AIを使った追加機能やサブスクリプション型の商材など、「アップセル」にチャンスがあるとみて、多様な提案を打ち出したい考えだ。
新体制で臨んだ「ICT EXPO」は、あらためて地域の声を聞き直す場にもなった。会場で得た反応を持ち帰り、メーカーの知見や全国で培ったノウハウと組み合わせながら、各社の次の一手を共に描いていく構えだ。